物流に打撃 一時「貨物列車」全て運行停止 順次再開も…配送遅れ影響も
タマネギなどの流通に大きな打撃となるかもしれません。JR貨物が検査データを改ざんする不正で一時、全ての貨物列車の運行を停止しました。すでに配送に遅れが生じるなど影響が広がっています。
全国一の生産量を誇る北海道北見市のタマネギ。収穫の最盛期を迎えましたが、いま農家が気がかりなのは…
タマネギ農家
「不正があったりしてJR貨物がしっかり機能できない。輸送が滞ってしまう」
輸送への不安です。
11日、北海道室蘭市にあるJR貨物の車両所に立ち入り検査に入ったのは国土交通省の職員ら。北海道と本州を物流でつなぐ貨物列車で不正が明らかになったのです。
JR貨物 小暮取締役
「大変申し訳ありませんでした」
JR貨物は北海道、神奈川県、広島県の3つの車両所で貨物列車の組み立てに関する検査データで不正行為があったことを発表。不正があったのは、車輪などを車軸にはめて「輪軸」を組み立てる作業です。
車輪などを押し込む際の圧力が「基準を超えていた」にもかかわらず、検査記録表には「基準値に収まる数値」に書き換えるなどしていたというのです。
基準以上の圧力がかかった場合、軸に傷がついて金属疲労が早まり、最悪の場合、折れる可能性があるといいます。
なぜ不正が行われたのか…
JR貨物 西田車両部長
「作業を失敗すると、少しコストというか、部品が廃棄になることを(社員が)気にかけた」
JR貨物 小暮取締役
「もともとある程度の圧力が必要な作業なので、きっちりと締まっていることへの基準超えに対しての認識が甘かった」
不正が行われていたのは、貨物列車などあわせて564両。ただ、11日になって新たに調査が必要な車両が300両見つかったため、JR貨物は全ての貨物列車の運行停止を発表しました。
この時期は、北見産のタマネギを全国に運ぶ通称“タマネギ列車”が走るなど、北海道産野菜をはじめさまざまな物流で重要な役割を担っていた貨物列車。
タマネギ農家
「ある程度まとまった量を一気に出したい時期なので、JR貨物、タマネギ列車がないと不便」
JR貨物は安全が確認できた車両から順次運行を再開していますが、すでに影響が出ています。
ヤマト運輸は10日、11日に発送された、関東から九州・北海道宛ての荷物、九州・北海道から関東宛ての荷物の配達が1日以上遅れる見込みだとしています。
また、佐川急便でも現在預かっている全国から北海道、東北、関東、北陸、関西、九州宛ての荷物に遅れが生じる可能性があるということです。
今年7月に、JR新山口駅で発生した貨物列車の脱線事故をきっかけに発覚した今回の不正。国交省は、立ち入り検査の結果を踏まえて厳正に対処するとしています。
(9月11日放送『news zero』より)