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ミスコンを廃止して2年目 上智大生の挑戦

2021年7月19日 19:22
ミスコンを廃止して2年目 上智大生の挑戦

容姿だけで判断する「ミス/ミスターコンテスト」を廃止した上智大学の新しいコンテスト。2年目となる今年は、出場者の考えや経験に一層注目が集まるよう、新しいルールを考えました。

■SDGsに関心を持つ5人の大学生が集結

19日、上智大学の学園祭の実行委員会が管理するホームページに、SDGsに関心を持つ大学生5人のプロフィルが発表されました。5人は「ソフィアンズコンテスト2021」の最終選考まで残ったファイナリストです。

「ソフィアンズコンテスト」とは、上智大生が「自分の魅力」と「社会課題」を発信するインフルエンサーを目指し、その実力を競うコンテストです。19日から、ファイナリスト5人が、コンテストのために開設したSNSアカウントを通じてアピールを開始します。コンテストには、上智大学でSDGsや広報の研究を行う教授たちが審査員として参加し、インターネット上の人気だけでなく、学術的な観点からも、学生たちの影響力を審査して、11月の文化祭でグランプリを決めます。

実は、この「ソフィアンズコンテスト」、容姿ばかり注目される「ミス/ミスターコンテスト」に疑問を抱いた学生たちがはじめた試みなのです。

■ミス/ミスターコンテストの課題「解決し切れていると思っていない」

上智大学3年生の荒尾奈那さんは、去年、コンテストを運営するリーダーとして、40年以上の歴史をもつ「ミス/ミスターソフィアコンテスト」を廃止し、「ソフィアンズコンテスト」をはじめました。

1年生のときに「ミス/ミスターソフィアコンテスト」に関わった荒尾さん。そのときに抱いたのが、「男女分け」と「外見至上主義」への疑問でした。そこで、あらゆるジェンダーの学生が出場して、インフルエンサーとしての実力を披露する仕組みを考案。その一方で、賛否のあった「順位付け」については、「グランプリを目指して努力するからこそ、出場者が成長できる」と考えて残しました。

去年の大会終了後、荒尾さんは「今までと比べて、格段に出場した人たちがやりたいことを出せる大会になった」と一定の満足感を見せたものの、「見る人たちに“外見至上主義に陥らない”というコンセプトを理解してもらうことができなかった」と振り返りました。

荒尾さんの後を継いで、リーダーとなった2年生の山縣璃沙さんも、去年のコンテストでは「容姿だけで判断されてしまう課題を解決し切れていると思っていない」と言い、「今年こそ、投票する人の視点を変えられるようなコンテストにしたい」と意気込みます。そのため、今年の大会は「顔出しなし」での出場も可能としました。

■元ミスコンなのに「顔出しなし」で出場する理由

実際、19日、ホームページで発表されたファイナリストの集合写真を見ると、5人のうち1人は顔を隠すように花束を持っています。

「顔出しなし」でコンテストに挑戦する4年生のあさみさんです。あさみさんが伝えたいのは、「学び直し」と「ジェンダー平等」。専門学校を卒業後、一度社会人を経験してから、22歳で大学に入学したあさみさん。当時、学び直しの決意を友人に伝えると、「結婚できなくなるだけ」「子どもは諦めたの?」と言われました。そのときに抱いた違和感をきっかけに、大学でジェンダーについて学んでいると、「ジェンダーを学ぶことは男性女性問わず、だれもが自分らしさを大切にするために大事なんだ」と気づいたと言います。

「顔出しなし」でのコンテスト出場を決意したのは、顔ではなく、自身の経験と考えを1番に伝えたいと考えたからです。主に文章で「学び直し」と「ジェンダー平等」について発信する予定です。

進化するミス/ミスターコンテストから、社会に変化を起こす新たなリーダーが生まれるのでしょうか。