男女格差、生理…高校や企業ジェンダー教育
男性と女性の格差がどれくらい大きいかを国ごとに比較した「ジェンダー・ギャップ指数」、日本は「120位」です。どうしたら男女の格差を埋めていくことができるのか、忽滑谷こころアナウンサーが、ジェンダー教育を導入している高校と企業を取材しました。
■授業で気づいた“無意識”の男女格差
最初に話を聞いたのは、東京・港区にある正則高校の佐藤卓先生です。この高校では、21年前から「人間の性と生」という科目で“ジェンダー”について取り上げているんだそうです。
この日聞いたのは「仕事と家庭の両立について考える授業」。
佐藤卓先生
「例えば生徒にこんなことを出題しています。『私は保育士として働いています。パートナーも働いているので『共働き』です。トラックの運転手をしているパートナーは仕事で帰りが遅く、休みが不定期なこともあり、保育士で定時に帰れる私が、家事育児をほとんどやっています。このままの状態では仕事と家事育児を両立していくことが難しく、今後、どうしたらいいのか悩んでいます』。保育士に対して忽滑谷アナだったらどういうふうに答えますか?」
忽滑谷アナウンサー
「ん~なんてアドバイスするかな…2人でのコミュニケーションをとってみたらどうですか、とか、結構当たり前のことしか言えないかな、と私は考えてしまいました」
生徒たちからは、
・トラック運転手の夫に相談して一緒に考えてもらう。
・男性の方が稼げるので共働きをやめたほうがいい。
など様々な意見が出たんだそうです。
ところが、この問題には“別の視点”もあったんです。
佐藤卓先生
「授業の最後に生徒たちに必ず聞いているのですが、女性の側が保育士、男性の側がトラック運転手とみんな言うけれども、どうして保育士が女性だとわかるの?と聞くんですね」
実は、佐藤先生が出した問題に「性別の情報」は含まれていません。それにもかかわらず、“保育士は女性”“トラック運転手は男性”だと、多くの生徒が無意識に想像していたんです。
佐藤卓先生
「いろんな社会の見方、考え方があることは今の子供たちに大事だと思いますし、そういった意味でジェンダーは、世の中を考える、自分がどう生きていくかを考える大事な切り口として、生徒には伝えたいなと思っています」
■生理への理解は男女の格差を埋めるための第一歩
続いて、生理用品などを扱うメーカー『ユニ・チャーム』が主催する『みんなの生理研修』を取材しました。
担当者
「『みんなの生理研修』を始めさせていただきます。こちらが続きまして、生理の仕組みになります。この図の真ん中の一番上のところが生理後の子宮内膜の状態になっています」
希望する企業に、女性の生理の仕組みや、男性にできることは何かなど、無償で研修を行っています。
まずは生理の基本的な知識を学ぶことで“みんなが働きやすい職場”づくりにつながればと、去年から研修を始めたそうです。経血の量や症状、痛みの強さも“個人差”が大きく、女性同士でもなかなか理解しづらい生理の悩み。受講した人に話を聞きました。
受講者(30代)
「生理って言いたくない人もいると思うんですけど、そういう方にどうケアしていったらいいのか、これからも考えていくと思います」
受講者(20代)
「私たちが意識をしないで男性に相談することで、男性の上司の方も『こういう相談をしてくれるなら、ちゃんと対応しなくては』となると思いますし、生理の話をしたらダメという雰囲気をなくしていきたいと思います」
研修を行っているユニ・チャームによると、生理について理解することは男女の格差を埋めるための第一歩になると考えているそうです。
忽滑谷アナウンサー
「日本は世界的に見ても男女平等が推進されていないという印象があるのですが、その点について、どう考えていますか?」
ユニ・チャーム フェミニンケアブランドマネジメント部
ブランドマネージャー・長井千香子さん
「今日、生理の人が自分の周りに必ずいるとお伝えすると、そうなのか、というふうに、初めて見る世界が変わるのだと思うんですね。これからジェンダー・ギャップ指数を埋めていく時に、お互いの差を知る、性差、違いを知るところからステップなのかなと思っています」