備蓄米の引き渡し開始 価格はどうなる? “値上げ通知”されたスーパーも…
高値が続くコメの価格は、これで落ち着くのでしょうか。18日、備蓄米の引き渡しが始まりました。その効果に期待が高まるなか、取材をすると、“コメの値上げ”を通知されているスーパーもありました。
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価格高騰が続くコメ。その救世主となるのでしょうか。
不作や災害以外では“史上初”。30キロの袋で400袋、合計12トンの備蓄米の引き渡しが18日に始まりました。
JA全農が落札した備蓄米の一部は、卸売業者の精米工場に到着。早ければ今月下旬から店頭などに並ぶ見通しです。
JA全農 米穀部 藤井暁部長
「(味は)普通に流通しているコメとなんら違いのないコメ。安心して食べていただければ」
全国のスーパーでのコメ5キロあたりの平均価格は、統計開始以来初めて4000円を突破。去年の同じ時期と比べ、ほぼ倍の値段に…。
備蓄米を購入したいという消費者も増えそうですが、18日に横浜市のスーパーを訪ねると…。
スーパーセルシオ和田町店 食品担当 久保田浩二さん
「落札されたコメ(備蓄米)が入ってくることはなさそう」
備蓄米入荷の予定はありません。それどころか…。
スーパーセルシオ和田町店 食品担当 久保田浩二さん
「4月も値上がりするという連絡を受けている」
仕入れ先からのメールには、4月1日からコメの価格を値上げ、さらに5月以降はコメの在庫がなくなる見込みだと、連絡があったといいます。
では、どこのスーパーで備蓄米は買えるのか?
番組が調べてみたところ、都内の中小のスーパー6店舗では、そもそも仕入れ業者から備蓄米に関する話は一切なし。なかには、備蓄米どころか、今後、コメを値上げすると通知されたというところも。
取材を受けた大手を含む20のスーパーすべてで「備蓄米の販売予定などは現状決まっていない」との回答がありました。
コメの流通に詳しい専門家からは“裏話”も…。
コメの流通に詳しい 日本総合研究所 三輪泰史チーフスペシャリスト
「米卸と小売りの方は混乱している状況。いろいろなスーパーで、まだうちは備蓄米の商品の要望を出しているけど扱えるかわからない、という声が各地で聞かれている状況」
「きのうきょうと米卸や大手スーパーマーケットの意見交換会に出ていましたが、直前まで備蓄米であることを表示するかどうか決まっていなかった。いくらでそれ(備蓄米)を落札してきて、自分たちの手元に販売されるか、未知数の部分がある」
JA全農は17日、備蓄米の価格について、可能な限り抑えて販売する指針を示した一方、取り合いなどを防ぐため「備蓄米」と表記しないよう小売店などに要請。
専門家は、直前のこの方針に卸売業者やスーパーが混乱していると指摘しています。
消費者からも…
主婦(60代)
「不安ですね。出てみないとわからない。普通だったらちゃんと決まって何日に出るとか。漠然とした形で言われても」
主婦(60代)
「計画通りにいっているかわからないし、コメの値段上がっているから半信半疑」
また、専門家は地域ごとに“格差”が生まれる可能性も指摘。
コメの流通に詳しい 日本総合研究所 三輪泰史チーフスペシャリスト
「今回、コメ不足の対応というのが非常に色濃いので、地元のJAなど集荷業者が落札したものを地元に流してほしいという要望が非常に各地から出ている。地元の中堅スーパーに優先して出していくケースも出てくると思われる。東京だと、なかなか備蓄米の扱いがないスーパーも出てくると思う」
備蓄米は均等に行き渡るのか。今後が注目されます。