梶山経産相に問う!日本のエネルギー 後編
9月2日、梶山弘志経済産業大臣がBS日テレ「深層NEWS」に出演し、報道局経済部記者でもある右松健太キャスターと生討論!後編は、原発政策を巡り河野大臣との議論の真相。そして、デジタル社会を根底から支える半導体。その戦略とは。
■独自!脱原発を主張する河野大臣が経産省へ。真相を直撃
8月30日、日本テレビのカメラは河野行革担当大臣が経済産業省を訪れる様子を捉えました。エネルギー政策における河野大臣の持論は「脱原発」。今回のエネルギー基本計画の原案に示されている文言には、2050年に向けて「安全性の確保を大前提に必要な規模を持続的に活用していく」とあります。この「必要な規模を持続的に活用」という文言が、将来の原発の新増設に道を開くとして、梶山大臣に直接懸念を伝えたのではないか尋ねました。
右松「文言の修正を求めてきたんではないかという見立てもあります。大臣、この中でどういうやりとりをしたのですか」
梶山大臣「8月6日から各省協議が始まっています。(中略)その一環として、河野大臣ともご意見を伺ったということです」
右松「河野大臣のその考えというのを承ったということですが、エネルギー基本計画の文言が変更されるのでしょうか」
梶山大臣「それも含めて今の時点ではコメントできないということであります。その文言を変えるというよりも、文言に対してどういう考え方なのか、というやりとりをさせていただいたということであります」
右松「文言の修文ということはなくて、この文言のこの1行にどういった思いを込めたのかという、心合わせをしたという認識でいいでしょうか」
梶山大臣「一つ一つの課題について、『これはどういう意味なの』っていうことをやりとりしたということで、私の方は『こういう考え方でいますよ』っていうことで、河野さんとのやりとりをさせていただいたということであります」
右松「この会談で河野大臣は納得をされたんでしょうか」
梶山大臣「いや、それは河野さんじゃないからわかりません」
■「産業の脳」日本の半導体戦略は
自動車、家電、電子機器に欠かすことができない半導体は、その重要性から「産業の脳」といわれます。しかし今、世界的な半導体不足に見舞われ、日本でも今年、相次いで大手自動車メーカーが操業停止を余儀なくされました。30年前、日本は半導体産業の世界シェアのおよそ5割を占めていましたが、今はおよそ1割に落ち込み、将来はゼロになる可能性が危惧されています。世界的な半導体の獲得競争に、日本も遅れまいと動き出しています。
右松「一部報道ですが、熊本県を候補地として台湾の半導体企業TSMCの半導体工場を誘致するという動きがあると。どのような戦略を思い浮かべていますか」
梶山大臣「熊本の件はまだこれは報道があることはご承知しておりますけれども、私どもはコメントできません。ただ、半導体にしっかり日本の基盤を作っていかなくちゃならないってことは事実でありまして、つくばの産総研(産業技術総合研究所)とTSMCで次世代の半導体の研究開発を行う形で始まっております」
「台湾積体電路製造(TSMC)」は先端半導体の受託生産で世界最大手。高い製造技術を持つ企業の半導体を安定的に手に入れられるかが、国のデジタル化、グリーン化のカギになるともいわれます。この秋、TSMCと日本の半導体関連企業の約20社が共同で次世代半導体の研究開発を行うとして、国が5年間で190億円を支援することが決まりました。しかし、海外では数兆円規模の投資予算で先端半導体企業の誘致を国策として行っています。日本はその中でどう戦っていけばいいのでしょうか。
右松「海外では数兆円規模の投資を構えています。日本も少なくとも数千億円規模の予算をしっかり構えないとこのレースを勝てないんじゃないかという指摘もあります」
梶山大臣「これは従来の予算の編成のことを考えているとなかなか対応できないと思ってます。これまでにない形で予算を計上する、そして対応していくっていうことが必要だと思います」
■出演翌日の菅総理退陣表明に梶山大臣は
「深層NEWS」出演の翌3日。菅総理大臣が自民党の臨時役員会で自民党の総裁選挙に立候補しないことを表明しました。記者会見直前にテレビニュースで一報を知り「驚いたというのが正直なところ」と述べた梶山大臣は、「空白がないようにしっかり行政をつないでいかなければならない」と、国のエネルギーや半導体戦略政策の継続が重要との認識を示しました。