チーズや小麦も…コロナで「値上げの秋」
「ミートショック」と呼ばれる輸入牛肉の高騰で、新型コロナウイルスの影響で厳しい営業を強いられる飲食店にはダブルパンチとなっています。コロナによる物流コスト増や生産量減を受け、さまざまな食品の価格が上昇。「値上げの秋」となっています。
■ステーキ店は「ダブルパンチ」
東京・世田谷区のステーキ店を訪ねました。50グラムごとに好みのサイズで提供する、アメリカンビーフのハラミが売りといいます(300グラム2100円)。
店は新型コロナウイルスによる時短営業や、酒の提供NGで打撃を受けています。さらに、コロナとダブルパンチになっているのが、「ミートショック」とも言われる輸入牛肉の値上げです。
オーナーシェフ
「利益が減ってきているので、薄利多売がさらに薄利多売になっていく感じです。ものによっては10%から、高級部位のヒレやサーロインだと25%近く(まで)、値段が上がっています」
この店では食材費が上がっても、これ以上客足が遠のかないよう、値段は据え置くといいます。
■中国「火鍋ブーム」で…輸入が急増
牛肉をめぐっては、牛丼チェーンの松屋が28日午後2時から「牛めし」並盛りを60円値上げすると発表したばかり。輸入牛肉の高騰が続いています。
独立行政法人「農畜産業振興機構」によると、アメリカ産牛バラ肉の卸売価格は、今年に入って急上昇。1年前の約2倍にまで高騰しています。
その要因の1つが、火鍋ブームが起きているという中国にあります。上海の火鍋専門店では、メニューに「アメリカ産の牛肉」と書かれていました。
中国当局によると、去年からアメリカ産牛肉の輸入量が約3倍に急増。こうした中国での堅調な消費が、牛肉にとどまらず、さまざまな食品の値上げにつながっているとみられます。
■国産牛肉、チーズまで…値上げの波
輸入ではなく国産の牛肉を扱っている、東京・世田谷区のスーパーを訪ねました。
本社統括部長
「国産も、どうしても値上がりをせざるを得ないことになっています。牛が食べる飼料が、非常に値段が高騰しています。特に小麦、大豆、トウモロコシをよく食べます」
輸入牛肉の値上がりに引っ張られている上に、牛の餌となる穀物が値上がりしています。
政府が買い付けた輸入小麦の売り渡し価格は、10月1日から19%引き上げられます。これは2008年4月以来の上げ幅で、コロナによって世界的に物流が停滞し、輸送コストが高騰したことなどが要因です。
牛肉の他にも影響が及んでいます。
本社統括部長は「チーズも値上がりの商品になっています。ヨーロッパでチーズを作っている職人さんが、コロナでなかなか出荷できない、作れないという声も聞いておりますので。商品によってですが(仕入れ値が)1.2~1.5倍になります」と話します。
コロナの感染拡大により、ヨーロッパや東南アジアなどでロックダウン(都市封鎖)が行われ、現地の工場が稼働せず、生産量が減少した影響もあります。
このスーパーでは輸入する国を変更したり、国産に切り替えたりして対応しているといいます。
■マーガリン最大「12%」値上げ
大手食品メーカーなどでは10月1日から、世界的な天候不順などの影響で、一部の菓子パンで7%程度、家庭用のレギュラーコーヒーで20%程度、マーガリンで最大12%程度、それぞれ値上げが予定されています。
値上げの秋を、消費者はどう受け止めているのでしょうか。世田谷区で聞きました。
主婦
「(値上げで困るのは)肉類ですかね。ハンバーグとかは、ちょっと残り野菜を使ってかさ増ししたりとか(工夫しています)」
食卓への影響は、しばらく続きそうです。
(9月27日『news zero』より)