ズワイガニ高騰 旅館プランやツアーに影響
各地で漁が解禁となった冬の味覚ズワイガニ。今年は例年以上に高くなっています。さらに、輸入のズワイガニも高騰していて、旅館のプランやツアー、さらに需要が高まる年末年始にも影響が出てきています。
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全国およそ600店舗を展開する回転寿司チェーン「スシロー」。今年も“この季節”がやってきました。
客
「おいしい」
客
「ラッキーです、早く食べられたから。カニ好きです!」
“カニ味噌”がたっぷりとのった“かにしゃぶ寿司”に、ワタリガニの希少部位、内子を使用した「かにの内子のせ」。
“冬の味覚の王様”カニを思う存分楽しめる「かにづくし」フェアです。
しかし、今年は例年と異なるといいます。
スシロー葛西駅前店・楠本真哉店長
「普段は2回開催できているんですけど、今年は1回のみの開催となります。カニが高騰していることが一番大きい影響になっています」
一体何が起きているのでしょうか。
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兵庫県の浜坂漁港。夜明け前から始まっていたのは、日本屈指のブランドガニ「松葉ガニ」の水揚げです。
水槽いっぱいの松葉ガニが、海の男たちによって運ばれていきます。
今月6日に今シーズンの漁が解禁されたのです。
とれたての松葉ガニはすぐさま競りへ。
シーズン開始から活気をみせる“カニ市場”ですが。
浜坂漁業協同組合・川越一男組合長
「若干高値で安定というのが今の状況ではないか。需要と供給のバランスだと思います。雄ガニが過去に比べて水揚げ量が若干少ない」
コロナが落ち着き始め、観光業界が動きだした一方で、水揚げ量が低下。需要と供給のバランスが崩れているのだといいます。
さらに漁師にとってはこんな悩み事も。
浜坂漁業協同組合・川越一男組合長
「この1年間の我々の原油だけでも約1リットルに対して約30円くらい値上がりしている。(カニの価格が)高値安定で推移すればしのげるかもわかりませんけど、漁業の経営環境は非常に圧迫されつつあって」
“燃料代とカニの高騰”。複雑な心境だということです。
冷凍ズワイガニの価格も上がっていて、今年9月時点の平均価格は昨年のおよそ1.2倍になりました。
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こうした中、到来したカニのシーズン。
影響は広がり、“カニ旅行”の値上げに踏み切った旅行会社もありました。JTBでは、3000円から5000円値上がりしたプランがあるといいます。
ズワイガニを味わえる京都の旅館では、地元であがる「間人ガニ」だけでなく、輸入ものもダブルで仕入れ値が高騰しました。
そのため、値上げに踏み切ったといいます。
海辺のうまし宿とト屋・池田香代子女将
「宿泊料金はやはり上げさせてもらいました」
それでも、少しでも足を運んでもらえるように、新しい旅行プランを展開し、集客を見込みたいということです。
海辺のうまし宿とト屋・池田香代子女将
「指が一本なかったり指の長さが違うとか訳ありガニもご用意していますし」
そして、年末年始に向けて注文が増えるカニの通販会社は。
伝食・代表取締役・田辺晃司さん
「どこかのタイミングで値上げせざるを得ないという現状ですね」
仕入れ値が2倍近くに上がる中、事業を続けるためにも値上げという苦渋の決断をせざるを得ないということです。
伝食・代表取締役・田辺晃司さん
「心苦しいなというのもあるんですけど、高くてもカニ買ってよかったなって思えるような商品であったり、サービスを提供していきたい」
価格に見合った冬の味覚を届けていきたいということです。