日銀3月会合 今後の利上げを慎重に行うかで見方分かれる コメなどの高騰は「持続性がありうる」との意見も

日本銀行は、政策を維持した3月の金融政策決定会合の「主な意見」を公表しました。アメリカのトランプ政権の政策が日本経済に与える影響が不透明な中、今後の利上げを慎重に行うべきかどうか、委員の間で見方が分かれていたことが明らかになりました。
「主な意見」によりますと、3月の決定会合では、足元の経済情勢について、「米国新政権の政策をめぐる不透明感は、各国の企業・家計のコンフィデンス(消費意欲等)に影響するものであり、世界経済の不確実性は高まっている」「米国ではインフレリスクと景気後退リスクが両方高まっている」など、トランプ政権の関税政策などでアメリカ経済や世界経済の先行きを懸念する意見が複数出ました。
日銀はこうした情勢を踏まえて政策金利を0.5%のまま据え置きましたが、金融政策の議論では、「関税問題の今後の展開次第では、(米国経済の悪化が)わが国の実体経済にまで悪影響を与えていく可能性が十分ある。その場合には、利上げのタイミングをより慎重に見極めることが必要である」との意見が出ていました。一方で、「不確実性は高まっているが、だからといって常に政策対応を慎重にすればいいというわけではない」「物価に上下双方向の不確実性がある時に、不確実だから現状維持、金融緩和を継続するということにはならない」など、不確実性の高い状況にとらわれすぎることを警戒する意見もあり、今後の政策対応のスタンスについて、委員の見方が分かれていたことが明らかになりました。
また、物価の動向をめぐっては、委員から「(日銀の見通しより)やや上振れている」との見方が示されたほか、コメや野菜などの生鮮食品の価格上昇について、「主に供給ショックと位置づけられるが、持続性がありうる」「農産物の価格高騰は、供給力低下や人件費上昇等、一過性でない要因の影響が大きい」などと、影響が長期化し、人々のインフレ予想にも影響を与えうるとの意見が出されていました。
次回の金融政策決定会合は4月30日と5月1日に開かれますが、国内外の経済状況を踏まえ、日銀が利上げの是非をどう判断するのかが焦点です。