就職先の「配属ガチャ」“ハズレ”解消へ インターン先を細分化…入社前に希望の仕事を体験
10月1日は、来年4月入社の学生の採用内定解禁日です。しかし、内定を獲得しても、どこに配属されるかわからないことを“配属ガチャ”と呼び、不安を持つ人も少なくないといいます。そのズレを解消しようと、新たな取り組みも進んでいます。
◇◇◇
入社後3年以内に離職する新入社員は約3割。就職を控える学生に、不安に思っていることを聞いてみました。
大学3年生
「配属ガチャ。思い描いていたものと違う現実を目の当たりにすると、転職したくなっちゃうのかな」
「配属ガチャみたいな。自分の希望した部署に入れないランダム性があるから、不安が残る」
“配属ガチャ”とは、何が出るかわからないカプセル自販機に、自分で配属先を決められない姿を重ねた言葉。
◇◇◇
「やりたい仕事をしたい」学生と「長く働いてほしい」企業。このズレを解消しようと、新たな取り組みも進んでいます。
社員と話すのは、就職活動を控えた京都大学・大学院生の武田照さんです。大学でAI(=人工知能)を使ったロボットの研究をしていて、日立製作所で3週間のインターンシップに参加。「AIでの画像認識」という分野で就業体験しています。
武田照さん
「深層学習を使うという意味では一緒なんですけど、画像認識を扱ったことがなかった。初めてです」
日立では仕事の内容を440職種に細かく分けてインターンを募集。入社する前に希望する仕事を体験してもらうことで、入社後に“配属ガチャのハズレ”と感じないようにしているのです。
企業側が重視したことが、もう1つあります。
日立製作所 エッジコンピューティング研究部 山岡雅直部長
「雰囲気ってすごく大事で、いくらやりたいことをやっていても、職場の雰囲気が合わないと来てもつらいと思う」
職場の雰囲気、人間関係などを見てもらうのも狙いだといいます。
武田照さんは「研究開発の仕事について、より明確なイメージをつかむことができた。このインターンで視野を広げることができた」と話しました。
◇◇◇
他にも“配属ガチャのハズレ”とされるのが、引っ越しを伴う「転勤」です。
大学3年生
「今までの人間関係とか疎遠になっちゃうから」
「自分のやりたい仕事に就ける機会が、東京の方が多いかな」
調査によると、行きたくない会社として「転勤の多い会社」を挙げる就活生の割合が急増しています。
※大学生が行きたくない会社(マイナビ調べ)
2019年卒19.9% 2024年卒29.6%
そこで「転勤」という概念をなくした企業もあります。
元々、東京に住んでいた濱村有里さんは、夫の転勤で家族4人で大阪へ。それを機に退職も考えたといいます。
NTTコミュニケーションズ 濱村有里さん
「できれば仕事を続けたい。でも、家族とは離れたくない。家族が離れるのは考えられなかったので」
そこで利用したのが、会社が去年から始めた新制度です。リモートワークを基本に、社員は「居住地を問わない働き方」が可能になったのです。この制度を利用し、濱村さんは転居した後も、これまで通り、東京の業務を大阪で続けられています。
人手不足のなか、優秀な人材確保と維持のため、“配属ガチャ”解消への取り組みが広がり始めています。