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“価格交渉行わない”公正取引委員会が13社を公表 狙いは「賃上げ」

2022年12月27日 21:44
“価格交渉行わない”公正取引委員会が13社を公表 狙いは「賃上げ」

歴史的な物価上昇の中、公正取引委員会は、中小企業などがエネルギー価格や原材料価格の上昇分を適切に取引価格に上乗せできる状況にあるかどうかなどの調査を行い、主体的に取引価格の引き上げ交渉を行っていなかったと認定された13社の企業名を公表しました。政府の狙いなどについて、日本テレビ・経済部の鳥羽博剛記者が解説しました。

【今回公表された企業】
佐川急便 三協立山 JA全農 大和物流 デンソー  東急コミュニティー 豊田自動織機 トランコム ドン・キホーテ 日本アクセス 丸和運輸機関 三菱食品 三菱電機ロジスティクス

■公取が問題視「転嫁拒否行為」 “賃上げ”にどうつながる?

藤井貴彦アナウンサー
「今回、公正取引委員会が13社の名前を公表した背景には、何があるんでしょうか?」

経済部・鳥羽博剛記者
「その狙いは『賃上げ』、つまり従業員の給料アップということです。そもそも公正取引委員会としては、『転嫁拒否行為』というものを問題視してきました。どういうものかというと、企業と企業との取引の場で、取引相手から『値上げ交渉の場を設けよう』と提案されたにもかかわらず、設けようとしなかったり、あるいはそもそも値上げ交渉をお願いできないような空気を作ったりするといった行為のことです」

藤井アナウンサー
「会社の規模に差があったり、取引関係で立場が弱かったりすると、なかなか主張はできないですよね」

鳥羽記者
「それに今、そもそも原材料価格や、電気、ガスといったエネルギー価格が上がっています。ものの価格が軒並み上がっている中で、それらを価格に転嫁できなかったら、企業としては当然、利益が減ります。そうなるともちろん、従業員の給料アップにもつながりません。政府としては、この価格転嫁をスムーズにできるようにすることによって、企業が適正な利益を生み出し、それが従業員の給料アップにつながる…、こうしたことを狙っているのです」

■公表された内容は?

藤井アナウンサー
「公表された企業は、具体的にどんなことしていたのでしょうか?」

鳥羽記者
「1つめは、『コストの上昇を取引価格へ反映する必要性について、交渉の場で明示的に協議しないで、従来通りに取引価格を据え置いた』と。つまり、これまで通りのコストと変わらない価格のまま、取引を続けたということなんです。もう1つは、取引価格の引き上げを提案せずに価格を変えないというのではなく、『取引価格の引き上げを求められたにもかかわらず、それを引き上げない理由を文書などで回答しなかった』と。この2つの理由が挙げられています。今回公表された企業は、『取引先から多く名前が挙がった』、『多くの取引先に対しこうした行為が見られた』ということです」

藤井アナウンサー
「これらの行為は法律に違反するわけではないんですよね?」

鳥羽記者
「法律違反ではありません。ただ、公正取引委員会としては、企業名を出すことにより、あくまで当事者間の積極的な価格協議を促す、つまり受注者にとっては価格交渉の機会の拡大につながるということで、今回、公開に至ったということです」

藤井アナウンサー
「つまり、価格交渉の風通しをよくするきっかけにしたいということだと思いますが、企業の側の言い分はどんなところにあるのでしょうか?」

鳥羽記者
「今回、名指しされた13社の中には、コメントを出している企業もあります。東急コミュニティーは『価格改定に際しては今後も適切に対処していく。価格交渉、値上げの話があった時には真摯に対応している』とコメントしています。また、日本アクセスは『真摯に受け止め、積極的な働きかけが足りないというのであれば、今後は値上げに関する協議の場をもつように働きかけていきます』とコメントしています」

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