【解説】実家の住所がネットに…目的は 「KADOKAWA」サイバー攻撃 個人情報が流出したとみられる人が語る不安
大手出版会社「KADOKAWA」が、サイバー攻撃を受け個人情報が漏えいした可能性が高いと発表しました。在校生や卒業生の情報も漏えいした可能性が高い、ネットの高校「N高」の卒業生の1人に話を聞きました。
藤井貴彦キャスター
「サイバー攻撃を受け、『個人情報が漏えいした可能性が高い』と発表したのは大手出版会社『KADOKAWA』です。4日、私たちnews zeroは、その個人情報が流出したとみられる人に話を聞くことができました。何が起きているんでしょうか、小栗さん」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「KADOKAWAのグループ会社でニコニコ動画などを運営する『ドワンゴ』で、『全従業員の個人情報』や『取引先との契約書』などの情報漏えいが判明しました。さらに、KADOKAWAとドワンゴが創立したネットの高校『N高』などでも在校生や卒業生、保護者の一部の個人情報までもが漏えいした可能性が高いということです」
「4日に話を聞いたのはこの『卒業生』の1人で、3日にN高から情報流出の可能性を知らせるメールが届いたということです。また実際に自身の高校の成績などに加え、実家の住所や電話番号までネットに出回っているのを見たということで、『実家で何か起きないかなと心配』などと不安な気持ちを話してくれました」
小栗解説委員長
「そもそも、この問題が発覚したのは6月8日で、ドワンゴのウェブサービスに不具合が発生し、社内で調査したところ外部のサイバー攻撃によるものと判明しました。さらに、6月28日にはドワンゴ全従業員の個人情報などが流出していると発表。7月2日にはハッカー集団が『情報をさらに流出させた』と主張していることを確認したとしています。こういった事態を受けて警視庁はKADOKAWAから相談を受けているという状況です」
藤井キャスター
「このKADOKAWAの情報をつかんで揺さぶっている、このハッカー集団の詳しい情報は入っているんでしょうか?」
小栗解説委員長
「KADOKAWAの夏野剛社長は身代金要求型のウイルス、つまり『ランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃を受けたと確認している』と発表しています。またサイバーセキュリティーに詳しい立命館大学の上原哲太郎教授によると、ロシア系とみられるハッカー集団『ブラックスーツ』と呼ばれる比較的新しい組織によるもので、『お金を払わなければデータを流出させる』と脅迫する手口だということです。このブラックスーツと名乗る集団は先月、犯行声明を出して『金銭の支払い要求に応えなければ、すべてのデータを公開する』と主張していたということですが、上原教授は『こういった集団に身代金を払わないことが新たな攻撃を呼び込まないためにも必要だ』と指摘しています」
藤井キャスター
「なぜ今回、KADOKAWAが狙われたんでしょうか?」
小栗解説委員長
「今回の侵入ルートはまだ判明していなくて、KADOKAWAを狙ったのか、偶然入ったのかも現時点ではわからないとITジャーナリストの三上洋さんは話しています。ただ、これによってKADOKAWAはウェブサービス全般を停止して、物流システムの機能も一部停止するなど事業に大きな影響が出ていて、被害は深刻だと三上さんは指摘しています」
藤井キャスター
「今回は企業が被害を受けているということですが、私たち一人ひとり、個人が気をつけることは何かありますか?」
小栗解説委員長
「SNS上などでハッカー集団のものとみられるウェブサイトにアクセスしたり、データファイルをダウンロードしたりしないでください。ネット上で感染してこのウイルスを拡散させてしまう可能性があるということです」
「KADOKAWAは私たちの取材に対し、今回の被害の詳細などについて『調査中のために答えられない』としていますが、利用者のクレジットカード情報については『社内でデータを保有していないため、情報漏えいは起こらない』としています。また、今月中には外部の専門機関による調査に基づく正確な情報を得られる見通しで、わかり次第、報告するとしています」
藤井キャスター
「この後、被害が広がらなければいいんですが、清水さんはどう考えますか?」
空手家 五輪銀メダリスト 清水希容さん (『news zero』木曜パートナー)
「私はハッキングではないんですけれども、SNSののっとりに遭ったことがあって、そのときは周りの人たちに迷惑がかからないかすごく不安でしたし、それ以降はウイルス感染対策のアプリであったり、2段階認証などの対策を行っているんですが、誰にでも起こりうることなので、普段から気をつけたいと思います」
(7月4日放送『news zero』より)