ネットショップに対抗 手に取って体験できる“リアル店舗” トイレットペーパーや包丁に美容家電も…
ネットショッピングで買い物をする人が増える中、店に足を運んでもらおうと、商品の陳列に工夫をこらす店舗が増えています。実際に手に取って試してもらうことで、高価格帯の商品を選ぶきっかけにもなるということです。
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東京・八王子市にあるホームセンター。トイレットペーパー売り場に整然と並んでいたのは「ペーパーホルダー」です。目にした人が、思わず手を伸ばしていました。
販売されている18種類全てのトイレットペーパーが「触ってください」と言わんばかりにセットされていました。肌触りを確かめていた客は…
客
「ちょっと今、触ってみて、(これが)いいかなと思って」
ティッシュ売り場でも、肌触りを確かめる客がいました。
客
「触ってみてどっちか、柔らかい方がいいかなとか」
実物に触れられる、まさに“神(紙)対応”です。
触って比較できるのは、紙製品だけではありません。歯ブラシに高圧洗浄機なども実際に触ったり、使用したりすることができます。さらに包丁売り場には、切れ味を試せるよう大根が用意されていて、約200種類の包丁を比べてみることができます。
“体験型”の売り場にしている背景には、コロナ禍での変化があるといいます。
スーパービバホーム八王子多摩美大前店 福冨豪店長
「ネットでのお買い物が多くなりましたので、当店、リアル店舗として実際にお客さまに触って試していただけることで、お客さまを呼び戻そうというのが1つの狙い」
試さないと手を伸ばしづらい高価格帯の商品を選ぶきっかけにもなるといいます。
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試してみたい高価な商品と言えば、あげられるのは美容家電や化粧品です。
家電量販店「ビックカメラ千葉駅前店」では、美容家電や化粧品の売り場に商品を試せる洗面台を設置しています。話題のブランドのドライヤーや美顔器、化粧水など、高価な商品を売り場で試すことができます。21万7800円のマッサージブラシに1万1000円のクリームも試用可能です。
ストレートアイロンを2種類試した客
「いろんな有名なものとか比べてみたいなと」
人目が気になる、という人は女性化粧室での試すことも可能です。ドライヤーやコテなど最新の美容家電などが置いてあり、ヘアケア商品と一緒に試すことができます。(※ポイントカード会員のみ・一部商品はレジで無料貸し出し)
ビックカメラ千葉駅前店 大沢晃太副店長
「コロナ禍にはテスターは利用できない環境になっていて、緩和されていくにつれて試せるように変わっていった。実際に商品に触って試して納得いただいた上で、ご購入いただけるというところが店舗の強みだと思っていますので、購入がなくてもご来店いただければと思っております」
駅前という立地を生かし、体験目当てでも来店するお客さんを増やせればと商品を試しやすい売り場にしています。
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“ほんの少しの工夫で商品が売れる売り場がつくれる”と話すのは、山梨県の老舗和菓子店です。
金精軒製菓 小野充大さん
「きれいな陳列にはしないように」
きれいに並べるのではなく、少し崩して並べる方が商品が売れるといいます。その心は――
金精軒製菓 小野充大さん
「あまりにも美男子だったり、あまりにも美しすぎる女性だったりすると逆に近寄りがたい空気が出てしまうような感じで、売り場の緊張感が上がってしまうので」
この“秘策”は、売り場のお客さんを観察していて気づいたといいます。SNSに投稿すると4万件の「いいね」がつき話題になりました。