【解説】物価高はいつまで… 「目的地を近場に」・「移動手段はより安く」ゴールデンウイークにも影響
「物価高」と言われて久しいですが、“去年以上に物価高の影響を感じているという人が9割以上”もいるというデータが発表されました。
●ゴールデンウイークの予算増加
●家庭内対策は?
●夫の小遣いは?
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
いよいよ、今週末あたりからゴールデンウイークに入るという人も多いのではないでしょうか。そのゴールデンウイークにも、物価高の影響が出ています。
皆さんは今年、どのように過ごすのでしょうか。明治安田生命は「家計」に関するアンケートを実施しました。ゴールデンウイークの過ごし方については、次のような結果となっています。
●ゴールデンウイークの過ごし方(明治安田生命 全国20~79歳 1620人 3月調査)
1位「自宅で過ごす」 41.6%(去年比 -14.4ポイント)
2位「国内旅行」 13.7%(去年比 +2.5ポイント)
3位「帰省」 7.9%(去年比 +2.3ポイント)
4位「アウトドア」 3.0%(去年比 +0.1ポイント)
5位「遊園地・テーマパーク」 2.4%(去年比 +2.1ポイント)
約40%が「自宅で」と答えたわけですが、去年と比べると14ポイントあまりも減少しています。つまり、外出する人の割合が増加していて、今年はいよいよ「脱・巣ごもり」のゴールデンウイークになりそうです。
新型コロナウイルスに関する制限がほとんど撤廃されて、この3年間に我慢を強いられてきた人たちの需要が一気に出てきています。ただ、外出が活発化する分、予算も上がっています。
「ゴールデンウイークにどれくらいお金を使う予定か」という質問では平均で3万9294円と、去年より9750円も予算が増えているのです。
外出する以上は予算も上がるというのは当然のことですが、もう1つ、予算を上げざるを得ない状況があります。
今月からJR東海、西日本、四国、九州の4社は、新幹線や特急列車の指定席料金を改定しました。利用の集中を緩和するためだということで、閑散期は安くなる一方で、ゴールデンウイークや年末年始など利用者が多い時期には、新たに「最繁忙期」の料金を設定したといいます。これにより、ゴールデンウイークは通常期より「400円増し」になります。
ホテル代も上がっています。アメリカの調査会社「STR」によると、今年1月から3月の日本のホテルの客室単価は、平均1万6125円となり、コロナ禍前の2019年と比べて2107円上がっています。
明治安田総合研究所の小玉祐一フェローチーフエコノミストによると、物価高でホテル代の上昇は現在も続いています。
上がる要因としては、ほかにもあります。繁忙期に価格を上げる料金システムを取り入れているところも増えてきたことがあります。また、海外旅行の需要はまだそれほど上がっておらず、国内旅行が中心になっています。そこにインバウンドの著しい増加があって、ますます需要が増えているということです。
特に、都市部のホテルを中心にかなり強気の価格設定になっていて、賢く節約しないとお金がかかりすぎて旅行を満喫できない可能性があるという分析です。
ゴールデンウイークに物価高が影響を与えています。調査では、「旅行の際に節約すること」についても聞いています。
●目的地を近場に変更(24.7%)
●宿泊先のグレードを下げる(18.1%)
●お土産の予算を減らす(14.6%)
●移動手段をより安いものに変更(13.5%)
このように、少しずつ様々なことを我慢して出掛けるという人も多いようです。
「家計」に関する調査ということで、家庭の支出でひと月あたり、何がどのぐらい上がったのかも聞いています。
食料品は「1万9661円増」、水道・光熱費も「1万5702円増」との回答になっています。単純にこれらを足しただけで、去年と比べて1か月に3万5000円以上も家計の負担が増えていることになります。
では皆さんは、どのように対策しているでしょうか。水道・光熱費については、「電気をこまめに消す」(52.5%)、「エアコンの設定温度を調整する」(39.5%)といった回答がありました。食料品については、「食卓の品数を減らす」(15.1%)という回答もありました。
あの手この手で家計をやりくりする中、数少ない“明るい話”もあります。
夫のお小遣いの金額は、去年より2117円上がり、3万5552円になったといいます。2年連続の増加となりました。ただ、コロナ禍前の2019年は3万7774円だったというので、回復途上にはあれど、まだ戻りきってはいないということです。
お小遣いが増えた理由については、最近の賃上げなどにより収入が上がっていることによるほか、日々のランチや飲み会など外食にかかる費用も増えている中で、分析資料では“妻の優しさがあらわれたのかも…”と書かれていました。
この物価高は、いつまで続くのでしょうか。明治安田総合研究所の小玉フェローチーフエコノミストによると、「もともと、食料品の値上げはエネルギー価格や穀物価格の上昇が背景にあったが、いずれも落ち着き始めている」ということです。そのため、「これから円安や原油価格の上昇などが再びない限りは、秋口から年末ごろまでに値上げのペースは落ち着いてくるのではないか」と分析しています。
(2023年4月24日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)