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“悲鳴”値上げの波…畜産農家「厳しい経営状況」 エサ代も高騰止まらず

2022年7月15日 21:26
“悲鳴”値上げの波…畜産農家「厳しい経営状況」 エサ代も高騰止まらず

輸入牛肉の高騰が続く中、国産牛のエサ代が高騰しています。あるステーキ店は仕入れの値段が「従来に比べ1.5倍ぐらい高騰している」として値上げに踏み切りました。配合飼料の仕入れ値が上昇した影響で、畜産農家も厳しい経営状況になっています。また、肥料の価格高騰も止まらず、野菜農家からも悲鳴が上がっています。

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東京・江戸川区にあるステーキ店「ハックルベリー」では、なんとも豪快な「1ポンドリブステーキ」が人気メニューだといいうことです。

この店では主にオーストラリア産やアメリカ産の牛肉を使用しているということですが…輸入牛肉の価格高騰を受け、これまでに経験したことがない値上がり幅だと話します。

ハックルベリー 五月女俊大さん
「従来に比べて、価格が1.5倍ぐらい高騰しておりまして」

そのためメニュー価格の値上げに踏み切ったといいますが、仕入れ先の業者からは心配な声もあがっています。

ハックルベリー 五月女俊大さん
「『いつ外国産の肉(の仕入れ)が止まってもおかしくない』と。外国産ですと赤身中心で、さっぱりと食べられるお肉だったんですけど」

ハックルベリーでは円安などの影響もあり、今後は国産の牛肉を使用することも検討しているということです。

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ただ、その国産牛の生産現場でも値上げの波が及んでいます。

千葉・佐倉市の畜産農家では850頭の黒毛和牛を飼育しているといいますが、特に切実な問題となっているのが、エサの高騰です。

大川畜産 大川修一代表取締役
「やはり、エサ(代)の高騰ですね。私も何十年もやっていますから、多少いろんなことで高騰したことはありますけど。正直、この価格っていうのは今までで初めてです」

エサとして使用している中国産の稲わらや、アメリカから輸入しているという牧草、さらには麦やトウモロコシなどが入った配合飼料の価格が高騰しているといいます。中でも、原料の多くを輸入に依存する配合飼料は、仕入れ値が1か月で100万円ほどアップしたということです。

大川修一代表取締役
「3か月おきに値段が決まるんですけど、3月から4月に切り替わった段階で100万オーバー」

その一方で、牛肉価格についても懸念を示しています。

大川修一代表取締役
「ある程度、値段は回復してるんですけれども、もう一歩二歩、値段が上がってくれないと、ちょっと経営的にかなり厳しい段階になってますね」

エサの量を減らすことができないため、経営状況は厳しいと訴えていました。

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また、野菜農家からも悲鳴が上がっています。

千葉・八街市で小松菜の収穫作業に追われる農家でも、小松菜の生育に欠かせない肥料の価格が高騰しているということです。

旦千花 大槻真一郎社長
「肥料は基本的には化学肥料の値段が、だいたい2倍、もしくは5割増しとか。ここまで上がったことはないですね」

化学肥料は植物に栄養がすぐに行き届き、短期間で生育に効果が期待できるといいますが、その化学肥料の価格高騰が続いています。

さらに追い打ちをかけるかのように、包装資材も値上がりしているということです。

旦千花 大槻真一郎社長
「こういう(野菜を包む)うちの包装資材とか、あと段ボールですね。こういう箱。入れる段ボールが1割~2割上がっていますね。経費ばかりどんどん上がっていっちゃって、もう本当に利益の方が削られてるという状態です」

様々なものの値上がりで今後、さらに経費がかさむ状況となれば、小松菜の値上げも検討せざるを得ないということです。