物価高の中で広がる“タイムセール” スーパーにファミレス、美容室も…
一定の時間だけお得になるタイムサービス。物価高の中、集客を狙い、飲食店などでも広がりを見せています。
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午後4時前、長い行列ができていたのは神奈川・横浜市のスーパー生鮮館TAIGA・岡津店です。熱気が高まるワケは…
店員
「午後4時より鮮魚・精肉コーナー、税抜き300円以上の商品、100円引きとさせていただいております」
毎週水曜限定「タイムセール」の日だから。300円以上の肉と魚が100円引きとなるのです。しかも割引になるのは、午後4時からの5分間のみ。そのため、客は目当ての商品をカゴに入れスタンバイ。店員も扉の奥でスタンバイ。そして…
店員
「始めましょう!」
100円引きのシールをペタペタと貼っていきます。まとめ買いするチャンスとあって、大量購入する客が多くいました。
客(70代)
「お肉とシラス。100円引きと知っていたので、慌てて買いに来ました」
客(40代)
「きょう初めて利用できてよかった。物価高でありがたいですね」
店はコロナ禍でタイムセールを一時休止。しかし、3か月前に“復活”させました。その背景にあるのが、終わりのみえない物価高です。
帝国データバンクによると、10月に値上げが予想される食品は3000品目前後になる見込みで、4月以来の“値上げラッシュ”に。そこで注目されているのが、特定の時間だけお得になる「タイムセール」です。
──タイムセールやってたらどうする?
会社員(50代)
「見ちゃいます。その日いらないものでも、それにしようって」
母親(60代)
「運良くタイムセールだったらラッキーという感じ」
“買い物デー”でスーパーをはしご中という女性は…
スーパーをはしご中の人
「下にレタス・キャベツ、下にニンニク。もうちょっと(バッグに)入るから」
夕方から毎日タイムセールを行っている激安スーパーへ。時間が早すぎて“フライング”ですが、お肉をたくさん選びました。
スーパーをはしご中の人
「これが手羽先、これが豚肉。また2週間くらい買い物しなくて済む」
1円でも安いものを探す努力は惜しみません。
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タイムセールは、スーパー以外にも広まっています。ファミレスチェーン大手「ガスト」が行っているのは…
すかいらーくホールディングス・広報室 三浦優泉さん
「期間限定で、平日午後5時から9時までお得なタイムセールを実施しています」
平日限定、午後5時から9時までお得になるサービスです。人気のハンバーグメニューがこの時間に注文すると、通常価格から100円引き。(ミニチーズINハンバーグ&ビーフシチューソース 通常1050円~1150円)
一部のサイドメニューも1割から2割ほど値引きされます。
週に2度利用する客(60代)
「10円でも安いと、とてもありがたい」
利用客(70代)
「1品多くなったり、1個多く買っちゃったりします」
店は平日の外食需要を掘り起こすとともに、お得に食事を楽しんでほしいということです。
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全国に展開する美容室チェーン「HAIR SALON IWASAKI」。東京自由が丘店では午前10時になると、客がひっきりなしにやってきます。手際よく進むカット。人気の理由は技術の高さと、お値段にあるそうで…
店員
「690円になります」
なんと690円。ただでさえ、もともと980円と低価格ですが、10時から正午の2時間は、さらに300円ほどプライスダウン。(※午前10時~正午 ※店舗により時間は異なる)
会社員(50代)
「びっくりしました。ありがたいというか、申し訳ない」
リーマンショックをきっかけに、約15年前に始めたという“タイムサービス”。
HAIR SALON IWASAKI 岩崎麻由広報部長
「今、物価高だからこそ、なんとかサービスを提供し続けるために、コストを切り詰める部分もある」
このサービスが支持され、全国に店舗を増やせているといいます。今では客の半数が、タイムサービス中の2時間に集中。美容師1人あたり、1時間で6人の接客をしていました。
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物価高の今だからこそ、「時は金なり」。時間を味方につけ、お得に買い物したいものです。