会社の経営を引き継ぐ「跡継ぎ」が見つからない「後継者不足」。全国では毎年、後継者不足が原因で500を超える企業や店舗が倒産しているといいます。こうした中で今、家族以外から後継者を探すマッチングの取り組みに注目が集まっています。その現場を取材しました。

こだわりの日本酒を取り揃え、夜は居酒屋としても営業するこちらは、福島県三春町の国道沿いにある定食屋「三春キッチンベース」です。

取材したのは店主の大内広信さん（45）。48年にわたり、営業を続けてきた食堂を引き継ぎ、2024年11月に店をオープンさせました。

■三春キッチンベース 大内広信さん
「こちらは前のお店の一番人気でして、当店もこのメニューを「継承させていただきました」」

実は、大内さん。もともとはサラリーマンで、今は町議会議員としても活動していて、前の店主の親族でもありません。

高齢となり、後継者を探していた前の店主と事業承継のマッチングサイトで知り合い、「第三者承継」という形で店を引き継ぎました。

■三春キッチンベース 大内広信さん
「私自身、大好きな三春町なので、町を盛り上げたい、地域活性化とか地域貢献に少しでも力になればいいなと思いオープンしました」

こうした事業承継をサポートする施設が郡山市にあります。

■福島県事業承継・引継ぎ支援センター
若菜 正典さん「新規の事業承継の相談者数が数年間、増えておりまして、特に今年は昨年の9月末の段階で1.8倍くらいになっております」

後継者が見つからない中小企業の割合は、ここ数年は改善傾向にあるものの、福島県内でも半数近くに上っています。

また、全国での後継者不足による企業や店舗の倒産は2年連続で500件を超えるなど深刻な状況です。

こうした中で注目を集めているのが家族以外から後継者を探すマッチングの取り組みです。こちらの施設でも「後継者人材バンク」を通じて後継者を探す事業者と創業を目指す起業家をマッチングして、事業承継を支援しています。

■福島県事業承継・引継ぎ支援センター
若菜正典さん「会社の数が減っていくということは当然ながら雇用に一番影響がある。まずはやっぱりご相談をしていただきたい」

「第三者承継」という形で店を引き継いだ大内さん。長年、愛されてきた人気メニューのレシピや前の店主の思いも受け継いで、店を切り盛りします。

■三春キッチンベース 大内広信さん
「三春キッチンベースという名前ですから皆さんの拠り所、お客さんにとっての基地となるような、そんなお店を目指して皆で頑張っていきたいと思います」