【西鉄】高卒で採用した若者をバス運転士に育成 「なり手不足」と「高齢化」は深刻 路線を守るには 福岡
バス路線の廃止や減便につながる、バス運転士の人手不足が深刻です。西鉄でも運転士の高齢化が進んでいて、新たな人材確保のため、高校を卒業した若者を育てる「養成自動車運転士」の採用に力を入れています。
■教官
「じゃあ、行きましょう。」
8月23日、福岡県大野城市の西鉄バス研修センターでハンドルを握っていたのは、石川峻士(しゅんと)さん(20)です。バスを運転するのは、この日で2回目だといいます。
■教官
「ゆっくりハンドル切っていきますよ。そうそう、ゆっくりゆっくり。」
現在、客を乗せてバスを運転するために必要な「大型二種免許」の取得に励んでいます。
■石川峻士さん(20)
「ハンドルの大きさだったり、慣れないといけないところがたくさんあるので難しいです。」
石川さんが西鉄に入ったのは、高校を卒業した直後のおととし4月です。運転士になりたい高校卒業者を対象とする「養成自動車運転士」として入社しました。
■石川さん
「ずっと福岡で育ってきて、西鉄バスをずっと利用していた。運転士の方に優しくしていただいて、西鉄バスの運転士になりたいなと思いました。」
西鉄が「養成自動車運転士」の採用を始めたのは、今から9年前です。ある課題を見据えての導入でした。
■西鉄 人材戦略推進室・古賀純也 係長
「バスの運転士不足、高齢化というのは深刻な課題と認識していて。」
全国的にも路線バスの運転士は、なり手不足や高齢化などで人手不足になっています。西鉄も1800人余りの運転士のうち半数以上が50歳以上で、平均年齢は51.7歳です。このまま対策を打たなければ、定年退職者の増加により、11年後の2035年には運転士が現在から35%減るという見込みも出されました。
■古賀 係長
「高校生の採用が劇的な運転士不足解消につながるとまでは考えてはいないのですが、『高齢化』と『運転士不足』どちらも一気に解決する手段としては、非常に意義があることなのかなと思います。」
西鉄は慢性的な運転士不足などから、ことし3月に福岡地区の平日で全体の4.1%にあたる469便を減らしました。
天神バスターミナルで働きながら
■利用者
「博多発にしちゃったんですが、天神から乗っても大丈夫ですか。」
■運転士
「別の乗車券をお渡しするので。」
運転士を目指す石川さんは、福岡市の天神バスターミナルで接客の業務を行いながら、同時並行で大型二種免許を取得するための講習を受けています。おととしの法改正で、特別な講習を受ければ「19歳以上で、普通免許を所有して1年以上」と受験資格が緩和され、早期の免許取得への追い風となりました。
■教官
「直前で止まります。優しくショックのないブレーキ踏んでくださいね。」
■石川さん
「うわ。」
■教官
「ちょっと強かったね。」
■石川さん
「たくさんの方々の命を扱う仕事でもあると思うので、その責任を感じながら、いずれは福岡市内のたくさん人が通る道を運転して、誰が見ても上手いなと思われるドライバーになっていきたいです。」
西鉄はこれまで、高校卒業者からおよそ20人を運転士としてデビューさせました。生活に欠かせない地域の足を守るため、今後も新たな人材確保に努めていきたいとしています。
※FBS福岡放送めんたいワイド2024年9月6日午後5時すぎ放送