【2024年問題】西鉄バス大幅減便と最終便繰り上げに利用者は 運転手不足のなか体験会や座談会も 福岡
西鉄は3月16日に路線バスのダイヤを改正し、福岡地区を中心に減便や、最終バスを繰り上げます。背景にあるのは、運転手不足と2024年問題です。地域の足をどう守っていくのか、対応を迫られています。
■西鉄営業部・西野直史課長
「大変ご不便をおかけすることになる点では苦渋の決断。」
1日、西鉄が発表した“苦渋の決断”とは、路線バスの減便です。
西鉄は3月16日にダイヤを改正し、福岡地区の平日では全体の4.1%にあたる469便を減便、また、北九州地区と久留米地区でも合わせて100便以上を減らします。
さらに合わせて発表されたのが、最終バスの発車時刻の繰り上げです。
■元木寛人フィールドキャスター
「午前8時前です。今バスの扉が開きました。きょうも通勤・通学のため大勢の人がバスに乗車しています。」
福岡市南区の西鉄桧原営業所です。都心部から住宅地を経由した終点に位置します。
JR博多駅から住宅地のある福岡市南区長住を経由する65番系統のバスは、博多駅の最終便の発車時刻がこれまでの午後10時50分から33分繰り上がって午後10時17分発になります。
このほか、都心部から郊外に向かう最終バスの時刻は、最大で61分早まります。
■利用者
「それやばいですね。あまり遊べなくなる。(Q.飲み会など?)そう。カラオケまで行って。」
一方で、こんな声もありました。
■別の利用者
「(Q.飲み会は減った?)ことあるごとにあったのが、年に1回とか本当に少なくなりました。(Q.夜のバスに乗る機会も減った?)そうです。」
西鉄は今回のダイヤ改正について、特に午後8時以降の利用客がコロナ前の3分の2ほどに落ち込んだまま回復していないことを主な理由に挙げています。
さらにもう一つの理由が、運転手不足と2024年問題です。
■西鉄計画部・中嶋建太郎課長
「今、全国では私どもに限らず、バス事業者で運転手不足。」
慢性的な運転手不足に加え、ことし4月から、運転手の残業時間の規制が強化される「2024年問題」がバス業界に追い打ちをかけます。
【運転手確保へ体験会も】
すでに深刻な影響が出ている長野市の長電バスでは、通勤通学や通院に比較的影響が少ないとして、ことし1月21日から路線バスの「日曜日全便運休」に踏み切りました。これ以上の運転手不足が生じた場合には「さらなる対応も必要」としていて、地域の足の維持はギリギリの状況です。
福岡でも貴重な運転手をなんとか確保しようと、採用に工夫を凝らしています。
■指導員
「大きく回りましょうね。バスは大きく回ります。」
「3速に入れる。クラッチを離す。 うまい、うまい。」
2日、西鉄が開いた運転手の体験会です。大学生や社会人など、20代から50代までの男女16人が参加し、現役の運転手を囲んで座談会も開かれました。
■参加者
「初めて公道で客を乗せたときは緊張しますか?」
■運転手
「あしたから1人ですよというときのスタートが一番緊張する。運転は、最初は慣れるまで遅れていきます。15分、20分、必ず遅れるので、そこは何も心配しなくていいです。」
■参加した鳥栖市の公務員(55)
「いろいろ体験をして、(定年後の)自分の次の就職先につなげられれば。」
■参加した福岡市の大学1年(21)
「もともと運転手を目指していたので、なりたいなという気持ちが増した。」
苦境にあえぐ路線バスですが、生活に欠かせない地域の足をどう守るのか、あの手この手の取り組みが続いています。