【能登半島地震】発災2か月あまり 片道3時間以上かけ日帰りでのボランティア続く 福岡から現地入りのNPO法人「普通の生活にはほど遠い」
■NPO法人YNF・江崎太郎さん(44)
「寒いですね。ぐるりと見るとほとんど立っている建物がないです。」
倒壊した建物に雪が積もっています。地震と津波で甚大な被害を受けた石川県珠洲市の3日の様子です。
撮影したのは、被災地でボランティアを続ける福岡市のNPO法人、YNFの江崎太郎さんです。
地震翌日の1月2日から被災地に入り、珠洲市を拠点に炊き出しや入浴の支援を行ってきました。
■江崎さん
「やっぱり水の問題が大きくて、トイレもまだ仮設トイレだとか、いわゆる普通の生活にはほど遠い状況が続いています。」
発災から2か月あまり。いまだライフラインの復旧が進まないなか、被災者の悩みを聞いてまわり、求められる支援を続けています。
■江崎さん
「少しずつ良くなっているとはいえ、ものすごく時間がかかる災害です。産業がすごくダメージを受けている。」
2月、私たちが訪れたのは、珠洲市から車で1時間ほど離れた穴水町にある寿司店です。自宅兼店舗は屋根や壁が崩れ落ち、業務用の冷蔵庫や食器は捨てざるを得ませんでした。
1969年の創業から55年、夫婦二人三脚で営んできましたが、再開の見通しは立っていません。
■福寿司・松本志郎さん(77)
「地震の前、80歳まであと2年間、頑張ろうと思ったのにね。これからスタートというのは厳しいよ。」
能登の米と魚で作る海鮮丼が看板メニューで、地元だけではなく、県外からも多くの客でにぎわっていました。
■志郎さん
「今やっても観光地がなくなった。穴水も珠洲も輪島も。」
■妻・好美さん(71)
「奥能登観光して、行く時とか帰る時とか、9割方、県外のお客さんだった。」
再開できたとしても客足が戻るか分からず、先行きの見えない状況に不安は募るばかりです。
■志郎さん
「復興するというけれど、なかなか難しいやろうね。」
【片道3時間以上…ボランティアは日帰り】
日常生活の再建に欠かせないのがボランティアの力ですが、一日の作業は、わずか数時間に限定されています。
特に被害が大きかった珠洲市や輪島市などは周辺に宿泊施設がなく、片道3時間以上かかる金沢市などから「日帰り」での活動を余儀なくされているためです。
■ボランティア
「もっとやりたいなという気持ちはあるのですが、なかなかうまくいかない。」
そこで近くの穴水町に先週、廃校になった中学校の体育館にテントを張るなどしてボランティアの宿泊拠点が設けられました。
1泊2日での活動ができるようになりましたが、利用できるのは1日100人に限られています。
現地で支援を続ける福岡市の江崎さんは、ボランティアの存在が被災者の気持ちの支えにもなると話します。
■江崎さん
「ボランティアさんが被災地にいることで街が活気づいたりとか、被災された方が少し前を向けるきっかけになったりとか。そうした状況に早くなるといいなと思います。」
復旧復興へ向けてボランティアの活動はこれからが本番となります。支援を息の長いものにするための態勢づくりが急がれています。