18日の日経平均株価の終値は、先週末に比べて1000円以上値上がりしました。景気回復への期待感が高まる中でのことしの春闘、賃上げの流れは福岡にも波及しているのでしょうか。

■元木寛人フィールドキャスター
「午前11時です。いま、連合福岡の担当者が商工会議所にやってきました。手にしているのは企業からの賃上げ要求に対する回答です。」

連合福岡は18日、来年度の給与などを決める春闘で、企業側からの回答を集計した結果を発表しました。

18日の段階では9つの企業が回答し、平均の賃上げ額は1万8757円、平均賃上げ率は6.74パーセントと、全国平均の5.28パーセントを上回っています。

■連合福岡・小林数善 副事務局長
「ここ数年のコロナ禍で冷え込んだ経済活動が再開するなかで、労働者の賃金を引き上げて会社をまわしていく必要性を、会社も認識しての賃上げの流れが来ている。」

ことしの春闘、福岡の大手企業は、過去最高水準の賃上げ回答が相次いでいます。

福岡県宮若市に本社を置く、トヨタ自動車九州は、ベースアップと定期昇給を合わせて月額1万8000円と過去最高の賃上げで労働組合からの要求に満額回答しました。

九州電力も月額1万1500円のベースアップで満額回答です。引き上げ幅は2000年以降、最高となりました。

JR九州は過去最高水準となる月額2万339円のベースアップを発表しました。さらに、仕事と子育ての両立支援を拡大し、これまで1万円だった出産祝い金を、来年度は30万円と大幅に増額しました。

第2子が生まれた場合は40万円、第3子以降は50万円を支給します。

■JR九州 人事部・上野七海さん
「子育ては時間の制約や費用の負担も伴いますので、そこを一生懸命頑張ってほしいという思い。コロナ禍でも当社は影響を受けた業種です。それを乗り越えてこれからも安心して働き続けてほしいという思い。」

福岡の大手企業でも、従業員への手当てを充実させる動きが広がっています。焦点は、これが中小企業にも波及するかです。

■元木フィールドキャスター
「ことしの賃上げについて、街の皆さんはどのように実感しているのでしょうか。」

■事務職 40代
「残念ながら全くないです。上がっていないのが給料だけですね。いろんなものが上がる中で。」

■金融業 30代
「（実感は）あまりない。求めている数値には至っていない。」

■教育関係 30代
「実感はしている。そういう方向（賃上げ）に動いてくのではと思う。」

福岡市の旅行会社、アドツーリストは4月から、全社員27人の給与を一律1万円上げることを決めました。

■アドツーリスト福岡支店・堀江雅子 支店長
「一番には物価高騰もよく言われていると思いますが、そういった背景の中での賃上げというのが一つ。」

新型コロナの5類移行後、国内旅行の売り上げはコロナ前よりもアップしていて、新たな人材確保に積極的に動いています。

■堀江 支店長
「店舗展開も考えているので、人材の確保は重要案件となってくる。そういった意味でも来年度、社員の期待も含めて精いっぱい頑張っていければ。」

福岡の企業の春闘の回答はこれから本格化する予定です。大手企業の賃上げの勢いが広がるのか、注目されます。

各企業では高い水準での賃上げとなっています。地場大手の動きをまとめました。

JR九州は、基本給を引き上げるベースアップ、ベアが過去最高水準の2万円超えとなっています。

福岡県宮若市に本社を置く、トヨタ自動車九州、北九州市に本社を置く安川電機、さらに九州電力はそろって満額回答で1万円を超える賃上げです。

西部ガスは労働組合がベア1万円の賃上げを求めたのに対し、ベア8700円と回答しました。この額は32年ぶりの高水準です。