備蓄米の入札開始 コメの価格の見通しは 放出の効果に「期待」と「懸念」の声 福岡
コメの価格高騰への切り札となるのか。政府の備蓄米の放出に向けた入札が、10日から始まりました。備蓄米の放出で価格が下がるのではと期待の声がある一方、福岡県内の販売店からはその効果に懐疑的な声も聞かれました。
全長25センチほどの鶏もも肉を揚げたジャンボチキンカツに、炊き立ての白米。
■吉村史織アナウンサー
「衣がサクサクしています。ほんのり甘みを感じるごはんと、すごくマッチしています。これはごはん1杯じゃ足りません。」
福岡市城南区にある福岡大学近くの飲食店では、安くてボリュームたっぷりの定食を求めて、多くの客が訪れていました。そのお目当てが。
■訪れた人
「おいしいし、ごはんおかわり無料。めちゃくちゃ助かります。」
店では、6年前のオープン当初から、定食のごはんのおかわり無料サービスを続けています。多い日だと一日で35キロのコメを炊きますが、仕入れ価格は毎月のように上がり、この1年で2倍ほどになりました。それでも、おかわり無料を続けるため、2月に定食を100円から150円の値上げに踏み切りました。
■しっとう家 マネージャー・高橋明香さん
「厳しいですが、(食べ放題の)スタイルは変えたくないので。学生さん相手なので。(コメが)もうちょっと安くなってほしいなと。」
価格高騰が続くコメ。10日から始まったのは、政府が放出する備蓄米の入札です。入札の対象は、備蓄米として保管されている15万トンで、JAなど事前に資格を得た業者が入札に参加できます。スーパーなどの店頭や飲食店には、3月下旬から4月にかけて出回る見通しです。
コメの生産者や卸売業者などに調査した、向こう3か月のコメの価格の見通しを示す指数です。100に近づくほど価格が「高くなる」という見方が強いことを示すもので、1月時点では77だったものが、2月の調査では54と大幅に下がりました。備蓄米放出の動きを受け、今後、コメの価格が安くなると見通す関係者が増えたためとみられます。
ただ福岡市西区のコメの販売店では。
■中村安里アナウンサー
「こちらではたくさんのお米が販売されていますが、価格は5キロで5000円を超えています。」
政府が備蓄米を放出する方針を発表したあとも価格高騰が止まらないなか、店長の西嶋さんは放出の効果を懐疑的に捉えています。
■姪浜小田部米穀店・西嶋幸弘さん
「市場に出たところでどこまで変わるのかと、正直当てにしていませんが、店の経営状態を考えると下がってほしいという思いがあります。4月・5月に価格が落ちるのか高止まりなのか、はっきり分かるところなのかと個人的には思います。」
コメの高値が続くなか、今、人気だと言うものがあります。
■ミスターマックス Select美野島店・栗原健一さん
「こちらのもち麦です。」
もち麦が人気の理由は、かさ増し需要が高まったためです。もち麦は、粘り気が強く水分を多く吸収するため、炊飯時によく膨らみ、かさ増しができるということです。
この店では、もち麦の売り上げ数量は去年より3割余り増えているといいます。一方でコメの高値が続いていることから、備蓄米の放出に期待を寄せています。
■栗原さん
「市場のコメの供給が増えて、ディスカウントストアなので、お客様に少しでもお買い求めやすい価格で提供できればと考えています。」
私たちの食卓に欠かせないコメ。備蓄米の放出でコメの価格は落ち着いていくのか、先行きは見通せません。