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【なぜ?】Suicaなどの交通系ICカード決済 熊本のバスや市電で廃止へ

2024年5月28日 18:52
【なぜ?】Suicaなどの交通系ICカード決済 熊本のバスや市電で廃止へ

各交通機関で相互利用できる全国交通系ICカード。熊本県内のバスの決済でも使うことができますが、今年度内に廃止される方針です。その後はクレジットカードなどのタッチ決済に変わることになります。その背景とは。

県内のバスで見かける「タッチ決済」。そのあり方が変わろうとしています。

■熊本県バス協会 岩﨑司会長
「新規決済手段として、くまモンのICカード、クレジットカード等のタッチ決済現金等に変わる見込みでございます」

27日、県内5つの交通事業者が明らかにしたのは、クレジットカード決済の対応などができる新たな機器の導入方針です。現在、運賃は現金や5社共通で使える「くまモンのICカード」や、SuicaやICOCAなどの「全国交通系ICカード」などで支払えます。

一方で、5社が新しく導入すると発表したのはクレジットカードなどのタッチ決済の機器。それに伴い、“交通系IC”による決済は年度内にも廃止されます。

その背景は。

■熊本県バス協会 岩﨑司晃会長
「最終的に更新するコストがクレジット決済に対して倍かかる。行政からのご支援等が機器の代替では得られない」

現在、使用している全国交通系ICカードでの決済機器は、来年3月に更新時期を迎えます。その数は5社の高速バスや路線バス合わせて約900台。更新にかかる費用は5社全体で12億1000万円ですが、行政からの補助を受けられないといいます。

一方で、クレジットカードなどのタッチ決済の機器に変える場合の費用は約6億7400万円で、半分程度に抑えることができます。さらに、国や熊本市などからの助成で、事業者の負担は2億円程度にとどまります。

交通事業者側によりますと、昨年度「全国交通系ICカード」で決済をした利用者は、全体の約4分の1にあたる565万人だったということです。

街の人からは。
■県外から
「旅行をしていると、特に全国交通系ICカードを使えたら、関東・東日本・西日本関係なく便利でしたよね。なくなるんですか?」
■福岡から
「コストがかかることなので、気持ちはすごくわかるんですけど」

■学生
「基本Suicaで払っています。今後、どうやって支払って行ったらいいんだろうと、あまり使わなくなるかもしれないと思いました」

気になるのは利便性の低下。交通事業者側は、クレジット決済に移すことで、海外からの労働者や観光客のニーズに応えられるとしています。

また、県内のバス・鉄道事業各社で導入されている「くまモンのICカード」は引き続き利用できるほか、来年度からは肥後銀行が開発中の「くまモン!Pay」によるQRコード決済が導入される予定です。

【スタジオ】
(畑中香保里キャスター)
今年度で全国交通系ICカードの決済が廃止となるのはバスと熊本電鉄で、熊本市電は再来年の4月に廃止する方針だということです。

(緒方太郎キャスター)
熊本都市圏のバスの利用者は、約50年で5分の1にまで減少しています。各社の経常収支は赤字で、厳しい経営環境にあります。

公共交通に詳しい熊本学園大学経済学部の溝上章志教授は、「特に県外から来る人にとって、全国交通系ICカードが使えるのは便利な仕組みだったが、機器更新のコストを考えると廃止はやむを得ない判断」と話しています。地域の足を守るための方針の転換といえそうです。

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