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伝統芸能「ホーミー」を守れ! モンゴル

2010年3月3日 18:44
伝統芸能「ホーミー」を守れ! モンゴル

 モンゴルに、「ホーミー」という伝統芸能がある。通常の声と倍の周波数の声を共鳴させてのどから特徴的な音を出す独特の歌い方で、「人間楽器」とも呼ばれる。首都・ウランバートルのパブではホーミーのライブが盛んに催され、若者を中心に人気を集めているが、モンゴルと中国にまたがるアルタイ山脈周辺で発祥したとされるこの歌い方に今、ある論争が起きている。

 中国は去年、ユネスコ(=国連教育・科学・文化機関)に対し、ホーミーを無形文化遺産として登録した。しかし、モンゴル国内では「もともと中国に伝えたのはモンゴル人だ」として、見直しを求める動きが広がりつつある。

 モンゴルの演奏家たちは、ホーミーの魅力を国内で再認識してもらおうとコンサートを開くことにした。モンゴル全土から、若者を中心に約30組が集結。「モンゴル人としてこのままでいいのか!?それなら中国に登録されたままでいいじゃないか!」と、舞台監督の指導にも力が入る。

 地方から到着した6人組バンド「ムングンハラー」も、コンサートに参加した。ホーミーとロックを融合させた新しい音楽を目指しているが、借りるはずだったドラムが届かず、リハーサルができない。本番は、ほぼ満席となった会場で、進化を遂げながらも伝統芸能を守りたいとのメッセージをこめた演奏を披露し、ステージは大盛況のうちに幕を閉じた。

 ホーミーを守りたい。モンゴルの若き演奏家たちは、伝統芸能の継承者としての自覚を持ち、次世代を担う気概に満ちあふれていた。