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原油流出続くメキシコ湾 漁業への影響は

2010年6月12日 21:47

 発生から1か月半以上が経過したアメリカ・メキシコ湾の原油流出事故で、ルイジアナ州の沿岸部にはまだ多くの油の塊が海を流れている。油の膜も広い範囲に広がっており、海域を汚染している。

 原油の流出が続く中、アメリカ地質調査所(=USGS)は10日、一日当たりの流出量が当初公表していたよりも最大で2倍以上多かったことを明らかにした。その量は最大630万リットルで、200リットル入りのドラム缶3万本分にもなる。

 一方で、石油大手「BP」が行っている流出の食い止め作業は、徐々に成果を出しつつあるという。今後も、流出個所付近に新たに別のパイプを設置して、海への流出量を減らすことにしている。

 BPは、被害を受けているルイジアナ州など4つの州に窓口を設置して、漁業や観光業などの沿岸住民の補償にあたっている。これまでに5300万ドル(約48億6000万円)以上を支払ったが、影響を受けている人は数百万人にも上るとみられ、なかなか進まない補償問題に住民たちのいらだちは日々強まっている。

 11日には、創業134年という全米で最も古い歴史を持つカキの卸業者が操業を一時停止した。オーナーは「普段なら一日3万個のカキをむきます。今日は…何も行っていません」と話しており、これまでは地元のカキを扱っていたが、今後は西海岸など別の地域のカキを取り入れることも検討しているとした。

 依然として止まらない流出と、いっこうに進まない補償問題。こうした事態に、オバマ大統領は来週、BPの幹部を呼んで対応を協議するほか、現場海域へ4度目となる視察を行う予定。問題解決への道のりはますます険しさを増している。