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仏銃乱射 事件の背景に「反ユダヤ主義」か

2012年3月21日 1:09

 フランス南部・トゥールーズにあるユダヤ人学校で子供と教師計4人が射殺された事件は、フランス社会に大きな衝撃を与えている。事件の背景の一つとして、ユダヤ人を敵視し、差別する「反ユダヤ主義」があると指摘する声がある。

 この事件は、トゥールーズにあるユダヤ人学校の前で19日朝、バイクに乗ってきた男が銃を乱射し、子供3人と教師1人を殺害したもの。

 フランスのマスコミはこの事件を大きく取り上げ、「フランスを揺るがす悲劇だ」などと報じている。フランスでは20日午前11時、全国の学校で犠牲者の冥福を祈る黙とうがささげられた。サルコジ大統領もパリ市内の中学校を訪れ、「深刻な出来事であり、犯人逮捕のために全力を尽くす」と述べた。現場周辺のテロ警戒レベルは最高段階に引き上げられた。

 事件の背景の一つとして、ユダヤ人を敵視し、差別する「反ユダヤ主義」があると指摘する声がある。フランスには約500万人の移民がいて、そのうち約60万人がユダヤ系の住民だといわれている。この移民という存在は、宗教の違いなどをめぐるトラブルが度々起きるなど、フランスでは社会問題になっている。

 フランスの大統領選挙まで約1か月となっているが、この事件を受け、大統領選の有力候補は20日、相次いで選挙演説を一時中断した。候補の一人である、極右政党「国民戦線」の党首・ルペン氏は移民の排斥を強く打ち出し、「年間の移民の数を20万人から1万人に減らす」と過激な主張をしており、これによって支持を拡大している。また、サルコジ大統領も、支持層を広げるため、保護主義的な発言を強めていた。

 事件の犯人像はまだ明らかになっていないが、逮捕されて動機が明らかになった場合、その内容次第では、選挙の行方に大きな影響を与えることになりそうだ。