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極寒ロシア 氷のプールで寒中水泳に挑戦!

2013年2月27日 17:49
極寒ロシア 氷のプールで寒中水泳に挑戦!

 冬が長く、寒さの厳しいロシアだが、寒中水泳の愛好家が、なんと150万人もいるそうだ。モスクワに赴任してはじめての冬を迎えた山内康次記者が、この寒中水泳に挑戦した。

 1月、モスクワ郊外の川では、驚きの光景が広がっていた。氷点下11℃という寒さの中、分厚い氷の張った水の中に入る人たちがいる。これは、ロシア正教の宗教行事である洗礼式で、ロシア各地で行われた。「キリストがヨルダン川で洗礼を受けた」ということから、この真冬の儀式が始まったという。全身を3回水の中に沈め、この1年の無病息災を祈るのだという。参加者からは「体と魂が清らかになったわ」「神の恵みが体内に入ったようだ」との声が上がっていた。しかし、子どもたちのなかには「いやだ~!」と泣いてしまう子もいた。この洗礼式を体験してみると、非常に冷たく、口のまわりが凍ったように感じた。

 真冬の恒例儀式である洗礼式。しかし実は、ロシアの人たちにとって、この寒さの中で水に入るのは、洗礼式だけではなかった。

 洗礼式を体験した1週間後、再びモスクワ川を訪ねると、氷を砕く作業をしている人たちを発見した。いったい何をしているのか話を聞いてみた。

 「寒中水泳のために氷のプールを準備しているのさ」

 そう教えてくれたのは、寒中水泳連盟会長のウラジーミル・グリビョンキンさん。ここには、冬の間、週末になると寒中水泳の愛好家たちが集まる。気温は氷点下18℃。しかし、参加者は歌いながら水の中へと入っていく。ロシアで寒中水泳を楽しむ人は、150万人もいるのだという。寒中水泳連盟副会長のアレクサンドラ・チホミロワさんは「冷たい水に入って泳いでもいいし、座るだけでもいいのですよ。これはロシアの伝統的なスポーツなのです」と語る。中には寒中水泳を始めて約30年という参加者もいた。

 水に入ったらどうかという思わぬ誘いを受けた。先日、洗礼式でいてつく水の中に身を投じたのだが、今回も入ることになってしまった。せかされて泳ごうとしたものの、泳ぐどころではない冷たさだ。寒さに震えながら陸に上がると、温かい拍手で迎えてくれた。プールの近くには、まきをたいたサウナが用意されている。寒い中で水に入るので、体への影響を少なくするためだそうだ。寒い季節に水の中に入ることはすがすがしく、とても気持ちよかった。今度はサウナに入ることをせかされながら、来年もまた寒中水泳を行うことを誓った。

 取材を通じて、ロシアの人たちの冬の楽しみに触れることができた。