イスラエル軍がたびたび…パレスチナ人の怒り頂点に 現地取材の記者が解説 ≪中継≫
イスラエルとハマスとの攻撃の応酬が続いています。現地、エルサレムから鈴木あづさ記者が中継で伝えます。
◇
あそこに見えるのがイスラム教とユダヤ教双方の聖地である「神殿の丘」です。あの金色のドームのそばにイスラム教徒にとってもっとも重要な礼拝所の一つ、「アルアクサ・モスク」があります。今回の発端はユダヤ教の祭りの期間中に大勢のユダヤ人があの神殿の丘を訪れたことでした。イスラム教徒にとっても大切な聖地にユダヤ人が大挙して押し寄せることは彼らにとって許しがたい行為でした。
そして、今回のハマスによる攻撃にはさらに伏線があるんです。極右と手を組んだネタニヤフ政権が発足して以来、イスラエル軍がパレスチナ自治区をたびたび攻撃していて、パレスチナ人の怒りは頂点に達しているところでした。さらにガザ地区の失業率はおよそ5割ともいわれ、人々の不満がハマスに向かっていたこともあります。ハマスは故郷を追われたパレスチナ人の権利を今こそ回復しよう、とアラブ諸国に強く訴える必要がありました。
一方、ハマスの攻撃を許した失態を覆いかくそうと、イスラエルのネタニヤフ政権も強硬姿勢を崩していません。先ほど話を聞いたガザの医師は、「ユダヤ人にはなんの恨みも持っていない。攻撃するならハマスだけにしてほしい。何の罪もない市民や子どもたちを犠牲にしないでほしい」と切実に訴えていました。
市民を巻き込む無益な戦いをやめさせるために何ができるのか、国際社会は暴力の連鎖を止めることに全力を尽くす必要があります。