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トランプ氏、やりたい放題?──司教に「とても無礼」謝罪求める シカゴの繫華街“ゴーストタウン”なぜ【#みんなのギモン】

2025年1月25日 14:00
トランプ氏、やりたい放題?──司教に「とても無礼」謝罪求める シカゴの繫華街“ゴーストタウン”なぜ【#みんなのギモン】
20日にアメリカの大統領に就任したトランプ氏は、スタートダッシュに賭けている様子です。多くの大統領令を出し、社会を揺さぶる言動を見せています。最初から詰め込んでいるのには、ある事情がありました。やりたい放題の4年間になるのでしょうか。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「トランプ大統領就任4日 アメリカ激変?」をテーマに解説します。

■わずか4日…毎日トップニュースの扱い

小野高弘・日本テレビ解説委員
「(トランプ氏いわく)『黄金時代が始まる』ということでしたが、スタートダッシュに賭けている様子です。この4日間、トランプ大統領のやることは毎日トップニュースの扱いになっていましたよね」

「例えば、ケネディ元大統領暗殺事件の機密文書を全て公開する大統領令を出しました。AI開発に78兆円投資して雇用を生み出すという発表もありました。パリ協定離脱やWHO脱退は衝撃でしたが、いかがでしょう?」

森圭介アナウンサー
「4日間の出来事とは思えないですよね」

鈴江奈々アナウンサー
「世界へも大きな影響のあることばかりですよね」

■司教に諭されたトランプ氏は…?

小野解説委員
「トランプ政権の特徴を象徴するような出来事もありました。司教に謝罪を要求したというものです。21日、ワシントンの大聖堂で行われた就任関連の行事。この場で司教が、トランプ大統領に対してこう諭しました」

司教
「今、この国でおびえている人々に慈悲を。ゲイ・レズビアン・トランスジェンダーの子どもたちは民主党・共和党・無党派層どの家庭にもいて、命の危険におびえている人たちもいる」

小野解説委員
「性的マイノリティーや移民の皆さんがおびえている、慈悲の心を持ってください、と諭しました。なぜ司教が諭したかというと、前日の就任演説でトランプ大統領が『本日から性別は男性と女性の2つだけである』と発言したからです」

「多様性を重視する取り組みを廃止する大統領令に署名しました。司教の発言に対してトランプ大統領はSNSで『とても無礼な方法で教会を政治の世界に持ち込んだ』『礼拝は非常につまらないものだった。彼女と教会は国民に謝罪すべきだ』と発信しました」

山崎誠アナウンサー
「諭されたことを全く気にもしていない様子ですが、就任したばかりの大統領に司教が苦言を呈するのはあまり見たことがないですが…」

小野解説委員
「なかなかないことですが、トランプ大統領が(SNSで)記しているように、本来司教がこのようなことを話す場ではありません。これだけはぜひ伝えたいと考えたのでしょう」

山崎アナウンサー
「トランプ大統領はなぜここまで、多様性に対して否定的なんですか?」

小野解説委員
「多様性を重視する取り組みが逆に分断を生んでいる、不利益を被っている人がいるというのが主張です。アメリカでは多様性の取り組みを進めてきた一方で、時にはストップをかける動きも繰り返されてきました。今回はっきりとストップをかけた形になりました」

■活気であふれたシカゴの繫華街は今

小野解説委員
「そして今、こんなことも起きています。アメリカ第三の都市、イリノイ州・シカゴの街。普段は活気であふれている繁華街ですが、レストランもひとけがなく、閑散としています」

「なぜかというと、この街は中米からの移民が大勢住んでいて、トランプ大統領になって在留資格のない移民の大規模な強制送還が始まりそうだからです」

「強制送還が始まったら在留資格のない両親と、その両親の間に生まれたアメリカ国籍の子の親子が引き裂かれることにもなります。そのためみんな摘発を恐れて外出を控えていて、街がゴーストタウンのようになってしまっているということです」

忽滑谷こころアナウンサー
「10年前にシカゴに短期留学に行ったことがあります。同級生にも、メキシコなど中米から来た人はたくさんいました。本当に何の罪もない彼らがこうしておびえて過ごさなければならないという状況には心が痛みます」

小野解説委員
「この先どうなるかが心配です。他にも、メキシコ湾という名前をアメリカ湾に変えるという大統領令も出しました」

■議会襲撃事件で…支持者らを解放

小野解説委員
「さらに、恩赦の大統領令もあります。4年前の大統領選挙の後の議会襲撃事件で訴追された自身の支持者らを解放するというものです。これについては、就任後初のテレビインタビュー(FOX NEWS)でこう語っていました」

トランプ大統領
「彼らは史上最悪の犯罪者のように扱われた。彼らは選挙が不正選挙だと知っていたから抗議した。投票に抗議することは許されるべきことだ」

小野解説委員
「『ほとんどの人が完全に無実だった』と主張したんです」

忽滑谷アナウンサー
「トランプ大統領はこう言い切っていますが、世間はどう見ているんですか?」

小野解説委員
「世論調査ではアメリカ国民の半分以上、58%が反対しているという結果が出ました。半分というのが微妙なのですが、大事なところです。というのは、どうして(就任直後の)最初から詰め込んでいるのか、ということに関わってきます」

■2年後の中間選挙まで「時間がない」

小野解説委員
「2年後には議会の中間選挙があります。(議会は)今、自身の共和党が多数派ですが、ギリギリ半分以上です。2年後の中間選挙で過半数を維持するのは大変です。それまでに実績を出さないといけない、時間がないということです」

「そして今なら、やりたいことが通しやすい状況にもあります。前の政権の際にはストップをかける人がいましたが、今回は自分に忠実な人間だけで周りを固めています。反対意見が耳に入っているかどうかわかりませんが、どんどん進めていけるということです」

森アナウンサー
「とはいえアメリカの株価、ダウ平均は4日続伸しています。アメリカのマーケット的には評価されているのが難しいところですよね」

小野解説委員
「ただ、大統領令は絶対なものではありません。裁判所が違憲だと判断して無効にすることもできます」

■「明らかな憲法違反」とされた例も

小野解説委員
「例えば、アメリカで生まれた子どもに自動的に国籍を与える『出生地主義』を見直す大統領令について、AP通信によるとワシントン州の連邦地裁は23日、『明らかな憲法違反だ』として大統領令を差し止める判断を示しました」

「大統領令の判断を法廷に持ち込むという動きもいっそう出てくる可能性がありますよね」

鈴江アナウンサー
「仕組みとしてはできますが、確か司法もトランプ大統領側、保守派が多数を占めていますよね」

小野解説委員
「この先、本当に法廷闘争がどうなるかわかりませんよね。トランプ大統領は、アメリカの多くの人に支持されたから戻ってきました」

「ただ、だからといってまるでやりたい放題のような4年間というわけではないはずです。何かあればアメリカ国民みんなで抗議の声を上げる。議会もあります。そのことをアメリカ国民自身が証明するはずです。期待を込めて…」

(2025年1月24日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

最終更新日:2025年1月25日 14:00
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