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日本人高校生も“監禁”…中国系犯罪組織の拠点「KKパーク」で何が? 元締めは2つの“マフィア”【#みんなのギモン】

2025年2月26日 10:39
日本人高校生も“監禁”…中国系犯罪組織の拠点「KKパーク」で何が? 元締めは2つの“マフィア”【#みんなのギモン】
日本人の高校生2人が、ミャンマーの国境地帯にある犯罪組織の拠点から解放されました。同様の拠点は国境地帯にいくつもあり、多くの外国人が監禁されているようです。その1つが「KKパーク」。どんなところで、捜索や摘発が進んだ後はどうなるのでしょうか?

そこで今回の#みんなのギモンでは、「犯罪拠点 KKパークとは?」をテーマに解説します。

■約4年前は更地…急速に開発か

山崎誠アナウンサー
「ミャンマーの国境地帯で多くの外国人が監禁されていた問題で、ミャンマーの国境警備隊などの捜索で解放が進んでいますが、中国系犯罪組織の拠点の1つがKKパークです。どういったところにあるのか、衛星写真で確認します」

「KKパークはタイとミャンマーの国境近くにあり、去年12月の様子の写真を見ると、ずらりと広い範囲に建物が並んでいるのがわかります」

「約4年前の2021年1月の写真ではほとんど更地のような状態で、急速に開発されて1つの街のようなものができていったのがわかります」

「KKパークは1つの施設名ではなく、この区域一帯を指します」

森圭介アナウンサー
「建物の建ち方を見ても、計画的でかつ組織的に建てないと無理だと思います。かなりの資金力(があるということ)を感じますよね」

斎藤佑樹キャスター
「ある程度の事業性を見込めないと、ここまでの大きい土地(で建物群)を短期間でつくるのは難しいと思います」

■中華街で見かけるような赤い提灯も

山崎アナウンサー
「こういった多くの建物の中に、特殊詐欺や麻薬・人身売買などを行う中国系犯罪組織の拠点があり、日本人を含む多くの外国人が拉致・監禁され、働かされているとみられています」

「ミャンマーとの国境のタイ・メソトで24日、NNNが取材しました。そこでは国境警備隊の捜索が続いているということで、時折、迷彩服姿で軍人のような男性が出入りする様子も見られました。奥の建物には、中華街などでよく見かけるような赤い提灯も飾られていました」

■多くの洗濯物、ホテルのような建物も

山崎アナウンサー
「タイ側からドローンで撮影したKKパークの映像を見ると、赤い屋根のアパートのようなものが建ち並び、車もたくさん止まっています。ベランダにはたくさんの洗濯物が干されているなど、生活感があり、ここで多くの人が暮らしているのがわかります」

「運動スペースのある白い大きな建物もあります。外観はまるでホテルのようです。見える範囲にはかなり奥の方まで建物が並んでいるのがわかります」

鈴江奈々アナウンサー
「1つの街のようですし、こういったものが維持されている背景には大きな組織があるのかな、ということがうかがえますね」

■複数の拠点…多くの日本人を監禁か

山崎アナウンサー
「こうした中国系犯罪組織の拠点はミャンマーとタイの国境地帯にいくつかあるとされ、日本人20人以上を含む1万人以上の外国人が監禁され、詐欺行為に加担させられているとみられています」

「日本人の高校生2人が解放され、保護されたとのニュースもありました。まだ多くの日本人が監禁されているとみられ、日本やタイの当局は身元の割り出しを急いでいます」

■少数民族の武装勢力も開発に関与

山崎アナウンサー
「では、KKパークとは一体どういったものなのか。地元メディアによると、KKパークの開発が進んだのは2020年頃からです。中国系企業と少数民族の武装勢力が開発に関わっていて、カジノやホテルなどがまず建てられました」

「内戦状態のミャンマーでは、軍事政権の統治も及ばず、東南アジアの他の国での摘発を逃れてきた犯罪組織が流入してきたということです」

■日本につながりのあるグループも

山崎アナウンサー
「ミャンマー情勢に詳しい京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏准教授によると、KKパークなどを拠点にしている犯罪組織はいくつもあるとみられますが、元締めは大きく2つ。カンボジア国籍の中国人マフィアと、香港を拠点とする中国人マフィアです」

森アナウンサー
「いずれもミャンマーでもないし、国境を接しているタイでもないということなんですね」

山崎アナウンサー
「この下にいくつものグループがあり、日本にもつながりのあるグループも存在するとみられています」

刈川くるみキャスター
「複雑ですよね。ただ日本からも高校生でも行けてしまう、監禁されるということで、この組織の実態解明が急がれます。最近大きな捜索や摘発があって、この組織は今後どうなっていくのでしょう?」

■犯罪拠点の根絶が難しい理由は?

山崎アナウンサー
「中西准教授は『今回大きな摘発があったからといって、このまま収まっていくとは思えない。取り締まりの弱い地域に拠点を移すか、摘発などのほとぼりが冷めた頃に同じ場所でまた復活する可能性も十分にある』と指摘しています」

森アナウンサー
「元締めが2つだったとしても、下部組織はかなりの量だと思います。結果的にトカゲのしっぽ切りやいたちごっこになってしまい、なかなか根絶は難しいのかもしれませんね」

山崎アナウンサー
「また地元メディアも、犯罪で得られた収益は犯罪組織だけでなく一帯を支配する武装勢力にも行き渡る仕組みになっていて、このことが犯罪拠点の根絶が難しい大きな理由となっているとしています」

斎藤キャスター
「まだ犯罪拠点に取り残されている人たちがいると思います。その方たちがどうなるか心配なところですよね」

■詐欺に加担…外国人7000人を解放

山崎アナウンサー
「タイ当局によると、これまでに詐欺に加担させられていたとみられる外国人約7000人が解放されたということですが、日本人が新たに解放されたという情報は確認できていません」

「拠点から解放される人は増えていますが、タイ側の受け入れ態勢が整っていないことなどから、まだ多くの外国人がミャンマーに残されているとみられます」

「(日本の)警察庁によると、SNSを通じて海外に誘い出され、特殊詐欺に加担させられるなどのケースは増えているそうです。犯罪組織は思いも寄らない地域に連れて行き、詐欺に加担するよう強制し、殺されてもおかしくない。同庁はそう危険性を強調しています」

「『海外でもうかる仕事』という形で紹介された場合はすぐに警察に相談するよう、呼び掛けをしています」

鈴江アナウンサー
「SNSなどを通じてということで、遠い国の話のことではなく身近なところに、こういったところへ連れて行かれてしまうリスクがあることを改めて知った上で、今後邦人保護という観点でも、対応が求められますね」

山崎アナウンサー
「何でもないきっかけからこういったことに発展してしまうことも考えられます。日本人を含む多くの外国人の引き渡しが今後進むか注目されます」

(2025年2月25日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

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最終更新日:2025年2月26日 10:39