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関係改善のカギは… どうなる?日中関係

2014年12月28日 9:48

 国交正常化以降、最悪と言われた日中関係。この秋、日中首脳会談がようやく実現したが、新たな年に向けて関係は改善していくのか。改善に向けたカギはどこにあるのか、中国・北京から中村光宏記者の報告。

 安倍首相の靖国神社参拝によって、日中関係が最悪の中で始まった2014年。11月には2年半ぶりの首脳会談が実現し、ようやく関係改善に向けて動き始めた。

 今月には、日中の有識者による会合が3年ぶりに開催された。さらに、習近平国家主席も、日中戦争中に多くの中国人が殺害されたとされる南京事件の国家追悼式典で、「日中両国民は代々、友好を保ち、歴史を鑑(かがみ)として、未来に向けて、ともに人類平和のために貢献しなければならない」と述べ、日本との関係に配慮を示した。しかし、一方では「侵略戦争の歴史を顧みない言動」に警戒感と反対の姿勢を強調。日本側の歴史認識をけん制した。

 中国側の立場について、日中関係の専門家は次のように話す。

 北京大学・梁雲祥教授「日中関係の改善は双方の利益だ。その大前提は(日本側が)歴史を正しく認識することだ」

 日中関係の改善は、歴史認識をめぐる日本側の姿勢しだいというわけだ。そこで早速来年、日中間には大きな試練が待ち受けている。戦後70年。中国にとっては、旧日本軍に勝利した「抗日戦勝70年」の記念の年となる。習近平政権は、大々的な宣伝や様々な行事を通じ、国内を盛り上げていこうとしている。一方、それを利用した別の狙いもあるようだ。

 東京大学・高原明生教授「中国社会では、汚職、環境汚染、権力乱用などいろいろな問題がある。ナショナリズムを使って、国民をまとめていこうと」

 民族主義や愛国心を高めることで、中国国民の多くの不満を抑えつけようという狙いだ。

 国内では愛国心を高めて団結させていく一方、日本側に対しては、歴史認識をめぐる姿勢を見極めようとしている習近平政権。戦後70年で安倍政権がどのような談話を出すのかも注目している。高原教授は、日本側は工夫してメッセージを発するべきだと指摘する。

 高原教授「戦争についての反省、教訓を(日本が)どう考えているのかということが、あまりうまく海外に伝わっていない」

 さらに、関係改善に向け、日中双方がなすべきこととは。

 梁教授「(日中が)各レベルで交流を進め、できるだけ共通利益を見つけだす」

 日中で共通の利益を見いだすことこそが、関係改善のカギになるという。

 日中両国は来年、戦後70年という大きな試練を乗り越えて、対立関係から協力を進める関係へとシフトチェンジさせられるかが試される年になりそうだ。