「史上初の原子力テロ」ロシア軍が原発攻撃し占拠 火災も…
ロシアによるウクライナ侵攻は9日目になりましたが、新たな動きがありました。ウクライナ南東部にある、ヨーロッパ最大級の原子力発電所が攻撃され、火災が発生。地元当局は、「ロシア軍が占拠した」と明らかにしています。
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4日未明、ロシア軍がウクライナのザポリージャ原子力発電所を攻撃しました。弾丸の軌跡とみられる、閃光(せんこう)が走る様子が撮影され、映像では炎が上がっているのが確認できます。
ロシアは国際社会が懸念していた、原発への攻撃を実行に移しました。
ウクライナのクレバ外相はSNSで、「爆発すればチェルノブイリ原発事故の10倍の規模になる。即座に砲撃をやめろ」と非難しました。
ゼレンスキー大統領は、「テロ国家による原子力テロだ」と強く非難しました。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領
「ロシアを除いて、原発を攻撃した国は他にありません。史上初めて、テロ国家は原子力テロに走っています」
その上で、「ロシア軍を止められるのはヨーロッパだけだ」と訴えました。
また、ホワイトハウスによると、アメリカのバイデン大統領はウクライナ・ゼレンスキー大統領と電話で会談。両首脳はロシアに対し、原発周辺での軍事活動をやめるよう求めることで一致したということです。
ウクライナ南東部にある、ザポリージャ原子力発電所には6基の原子炉があり、ヨーロッパ最大規模とされています。
ロシアによる原発攻撃の2日前の3月2日、ザポリージャ原発へ続く高速道路には、道を埋め尽くす市民の姿がありました。
市民
「敵を市内に一歩も進ませない」
「発電所のような大事な施設を敵に渡さない」
ロシア軍の侵入を防ごうと、市民らが「人間の鎖」となり封鎖していました。
しかし、翌日の3日、市民が集結していた場所からは、黒煙が立ちのぼっていました。
市民
「これがロシアの言う平和なのか」
さらに、何度も爆発音が鳴り響きました。
市民
「戦車か?」
「そうだ」
市民は急いで避難しましたが、中には火炎瓶を投げる人や、車の後ろで拳銃を構える人もいて、ザポリージャ原発へと続く道で激しい戦闘が起きていました。
そして、4日未明に行われた、ロシア軍による原発への攻撃。ウクライナの非常事態庁は、火災が発生したのは5階建ての訓練施設で、火は消し止められ、けが人はいないとしています。
また、IAEA(=国際原子力機関)によると、ウクライナ当局から「重要な設備には影響がなく、原発の放射線レベルに変化はない」と報告があったということです。
こうしたなか、地元当局は「原発がロシア軍によって占拠された」と明らかにしました。ウクライナ内務省も、原発敷地内にロシア軍が入り、管理施設を取り囲んでいるとしています。