ロシア、米主導の停戦案にどう動く? ウクライナは合意も…交渉行方は
2週間ほど前の首脳同士の口論から一転、ウクライナはアメリカが主導する停戦案に合意しました。ボールを渡されたロシアはどう動くのでしょうか。
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アメリカのトランプ大統領。“歴代大統領”を引き合いに、ロシアとウクライナの停戦実現に自信をのぞかせました。
トランプ大統領(12日)
「ロシアはブッシュからジョージアを奪った。オバマからクリミアを奪った。バイデンからすべてを奪おうとした。(ロシアに)唯一何も取られなかったのは誰だ? トランプだ」
“アメリカ主導”で停戦を実現させたいトランプ大統領ですが…。
トランプ大統領(先月28日)
「あなたはあまりいい立場にない。非常に悪い立場に身を置くことを認めてしまっている」
ゼレンスキー大統領
「戦闘が始まった当初から…」
トランプ大統領
「いい立場にない、カードを持っていないんだ」
ウクライナのゼレンスキー大統領と公然と口論になり、一度は決裂。それでも…。
ゼレンスキー大統領(11日、大統領のSNSより)
「ウクライナは平和を実現する用意がある。戦闘を終結するか続けるかはロシアが決める」
ウクライナとは停戦案の合意に至りました。この暫定的な30日間の停戦案は当事者の合意により延長が可能。ただ、ロシアも同時に実施することが条件です。
トランプ大統領(12日)
「今こうしている間にも、ロシアに人を向かわせている。うまくいけばロシアから停戦合意を得られるだろう。それが実現したら流血の惨劇の終結を80%達成できたようなものだ」
日本時間13日夜、トランプ大統領の側近、ウィトコフ中東担当特使がモスクワに到着し、ロシアに停戦案を受け入れるよう働きかけるとみられます。
停戦のボールを渡されたロシア。プーチン大統領の姿は12日、ウクライナから越境攻撃を受けているクルスク州にありました。
プーチン大統領
「我々の任務は可能な限り近い将来、クルスク州の領土に潜む敵を完全に打ち負かすことだ」
そして日本時間13日夜、ロシア国防省はクルスク州の要衝の街スジャを奪還したと発表。ロシアのゲラシモフ参謀総長は、ウクライナがクルスク州を交渉材料として利用しようとする計画は失敗したと主張しました。
ウシャコフ大統領補佐官も、13日公開のインタビューで停戦案をめぐり「ロシアは何も得られない」「ウクライナ軍にとっての一時的な休息に過ぎない」と述べ、否定的な見解を示しました。すでにアメリカ側にも電話で伝えたということです。
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専門家も、こうした戦況がアメリカとロシアの交渉を厳しいものにすると指摘。
アメリカ政治・外交に詳しい 上智大学・前嶋和弘教授
「ロシア側はこの(戦況がいい)タイミングはベストなので、いろいろな要求ができる。例えばゼレンスキーさんを辞めさせてくれとか、欧州もいま平和維持部隊が入る話があるが、これもやめてくれと(ロシアが要求する可能性)。そう考えると、トランプさんは自信満々であっても、実際に話がまとまるかは、ちょっと疑問を持ってしまいます」
(3月13日放送『news zero』より)