なぜルワンダ?日本企業・自治体注目のワケ
日本が中心となってアフリカの開発について話し合うTICAD(=アフリカ開発会議)が先月、ケニアで開かれた。日本とアフリカの関係強化が進む中、アフリカ・ルワンダに新たな可能性を見いだす日本人たちがいた。
ケニアで開かれたアフリカ開発会議で安倍首相は、官民合わせて総額3兆円規模のアフリカへの投資を行うことを明らかにした。会議場の隣では約100の企業などが、優れた日本の製品や技術などをアピールしていた。
■地方自治体の担当者も
この中には兵庫県神戸市の担当者の姿も見られた。神戸市はアフリカ中部の小国・ルワンダに注目している。
神戸市新産業グループ新産業創造・多名部重則担当課長「神戸市では、ルワンダとのビジネス交流を促進するような取り組みをしています」
取材中、ブースでは突然、床の掃除が始まった。実はこの数分後、安倍首相が通るという情報が入ったのだ。
神戸情報大学院大学・福岡賢二副学長「(安倍首相に訴えたいのは)神戸とルワンダの経済連携です」
神戸市の取り組みをアピールしたいと緊張して待ち続ける。そして、安倍首相が到着した。
安倍首相「神戸ですか?」
福岡副学長「神戸です。アベイニシアティブに一番力を入れて頑張っています」
時間が限られる中、安倍首相は約40秒間立ち止まった。多名部課長も夢中でカメラのシャッターを切る。
しかし、なぜ神戸市はルワンダに目を付けたのか。
多名部課長「ルワンダは国を挙げて民間企業、教育機関もICTを頑張っている」
■ITCに力を入れるルワンダ、そのワケは?
実はルワンダはいま、ICT(=情報通信産業)の育成に力を入れている。1994年に大虐殺が起きたルワンダ。虐殺は「無知」から引き起こされたと考え、政府は国民に「情報」の教育を徹底。さらに、ICT分野で活躍する人材の育成に努めている。
アフリカのICT関連市場は、2025年には35兆円規模にまで成長するという試算もある。先駆的な取り組みを行うルワンダは、日本にとっても有望なビジネスパートナーになると期待されている。
ルワンダでは、すでに日本がICTの発展を支援していて、JICA(=国際協力機構)などが造った施設もある。3Dプリンターなども完備され、若者たちが自由な発想を持ってICTを学んでいる。
JICA専門員・山中敦之さんは「社会問題をICTを使って解決したり、スマホのアプリをつくったりということをみんなでしています。この国は人的資源を国の開発に生かしていこうと目指している。日本が戦後歩んできた道と似ている。ルワンダは日本の真のパートナーになる可能性があると思います」と語る。
■日本企業も注目
ルワンダに将来性を見いだした日本企業もある。スマホ向けのアプリ開発などを行う会社「レックスバート・コミュニケーションズ」を経営する田中秀和社長。この日は、現地スタッフに飲食店で使うクーポンアプリについて説明していた。
実はこのアプリ、日本にある飲食店で利用するためのもの。日本向けアプリの製作をルワンダ人が担っているのだ。
日本向けアプリを開発するアラン・ガジャングウェさん「人材とパソコンとネットさえあれば、日本のどんな顧客とも仕事ができます」
田中社長「非常に熱心に理解してくれます。(私が業務時間を過ぎて)7時、8時とか9時近くまで仕事をしていても誰も帰らない。帰っていいよと言ったら『あなたが残っているから自分もやるよ』と。日本人と一緒に仕事をしているみたいな気分になったことがある」
ケニアで行われたTICADにも参加した田中社長。日本企業が海外にソフト開発を発注する際、これまで中国やインドなどが中心だったが、田中社長はルワンダも十分にポテンシャルを持っていると考えている。
田中社長「(日本人は)アフリカは一つに捉えがちで、私も正直当初は そんなイメージだったんですけど、国ごと、もしくは地域ごとにいろんなニーズがある。ルワンダと一緒にアフリカのいろんな市場に出て行けるんじゃないかと思っています」
アフリカをひとくくりに見るのではなく、国ごとに特徴を捉えて可能性を見いだす。そんなビジネスモデルが動き出している。