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安全装置PTC 米旅客鉄道全体でも22%

2016年9月30日 12:37
安全装置PTC 米旅客鉄道全体でも22%

 アメリカ・ニュージャージー州の駅で29日、通勤列車が車止めに衝突後、プラットホームに乗り上げる事故があり、女性1人が死亡、日本人1人を含む108人がケガをした。

 事故のあったホーボーケン駅は、ニューヨークのマンハッタンからハドソン川を挟んですぐのところにある。まだ立ち入りが規制されており、29日夜になっても警察などが出入りをしている姿が確認できる。

 事故は29日午前9時前に起きた。駅に到着した列車が止まらずに車両止めに激突、ホームに乗り上げ、大破した。

 乗客「列車が速度を落とさなかったので、おかしいと思っていた。気づいた時にはホームに乗り上げていた。爆発のような音がした」「みんな叫んでいたわ。乗客は折り重なって倒れたの」

 この事故で、ホームにいた女性1人(34)が崩れた駅舎の下敷きになって死亡、108人がケガをした。現地の日本総領事館によると、ケガ人のうち1人は日本人男性(50代)だという。

 アメリカのNTSB(=国家運輸安全委員会)は、最後尾の機関車にある記録装置やカメラを調べるなど、事故原因の調査を始めている。

 アメリカでは2008年に、ロサンゼルスで25人が死亡した列車事故のあと、「PTC」と呼ばれる列車を自動制御する安全装置の導入を義務づける法律が制定されている。しかし、コストの問題などから先延ばしにされており、アメリカ運輸省によると今回事故を起こした鉄道会社では、どの車両にも「PTC」を設置していなかった。アメリカの旅客鉄道全体でもPTCの導入率は22%にとどまっている。

 ホーボーケンの駅では、5年前にも列車が車両止めに衝突し、30人がケガをする事故が起きている。鉄道会社には早急な安全対策が求められている。