NY近郊列車事故“安全装置”導入せず
アメリカ・ニュージャージー州の駅で29日、通勤列車が車止めに衝突後、プラットホームに乗り上げる事故があり、日本人1人を含む100人以上の死傷者が出ている。
事故があったのは、ニュージャージー州のホーボーケン駅。29日午前9時前、駅に到着した列車が止まらずに車止めに激突、プラットホームに乗り上げ大破した。この事故で、ホームにいた女性1人(34)が崩れた駅舎の下敷きになって死亡、108人がケガをした。現地の日本総領事館によると、ケガ人のうち1人は50代の日本人男性だという。
ホーボーケン駅はニューヨーク・マンハッタンの川向かいにあるターミナル駅で、7本の路線が乗り入れている。マンハッタンへの玄関口となっていて、事故当時は朝のラッシュアワーだった。
アメリカのNTSB(=国家運輸安全委員会)は、最後尾の機関車にある記録装置やカメラを調べるなど事故原因の調査を始めている。
アメリカでは2008年に、カリフォルニア州で25人が死亡した列車事故をきっかけに、「PTC」と呼ばれる列車を自動制御する安全装置の導入を義務づける法律が制定されている。しかし、コストの問題などから先延ばしにされており、今回事故を起こした鉄道には「PTC」が全く導入されていなかった。
ホーボーケンの駅では5年前にも列車が車止めに衝突し、30人がケガをする事故が起きている。鉄道会社には早急な安全対策が求められている。