ヨーロッパは４日、今後の先行きを占う重要な日を迎えている。イタリアでは、事実上、政権の信任投票となる国民投票が、オーストリアでは、大統領選挙の決選投票が行われている。トランプショックが投票に影響するのか注目。

　イタリアでは、日本時間の午後３時、上院の権限を大幅に縮小する憲法改正の是非を問う国民投票が始まった。否決された場合、レンツィ首相は辞任する考えで、事実上、政権の信任投票となっている。

　反対派の中心でユーロやＥＵ（＝ヨーロッパ連合）に反対の立場をとる新興政党「五つ星運動」が勢いを増す可能性があり、政治が混乱すればＥＵに不安をもたらし、世界の金融市場に影響を及ぼす恐れがある。

　一方、オーストリアでは大統領選挙の決選投票が行われている。難民に寛容な立場の左派、ファン・デア・ベレン候補と難民排斥を掲げる極右政党・自由党のホーファー候補が事前の世論調査で大接戦となっている。

　去年、多くの難民らが到着したオーストリアでは、反動で難民らへの厳しい見方が広がりつつあり、ＥＵで初めて、極右の国家元首が誕生する可能性も指摘されている。

　イタリア、オーストリアともに日本時間の５日午前にも大勢が判明する見通し。既成の政治への不満を原動力としたアメリカのトランプ次期大統領の勝利が影響を及ぼす可能性もあり、注目されている。

■世論調査（先月１８日ＡＶＴ調べ）
左派、ファン・デア・ベレン氏　５１％
極右、ホーファー氏　４９％