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韓国「決断の日」~弾劾案とその後を解説

2016年12月9日 12:52
韓国「決断の日」~弾劾案とその後を解説

 韓国は9日、大きな決断の日を迎える。朴槿恵大統領の弾劾訴追案が9日午後、国会で採決され、弾劾訴追案は可決の公算が大きくなっている。結果は夕方には判明する見通し。

 疑惑発覚以来、朴大統領の進退が厳しく問われてきたが、いよいよ弾劾訴追案の採決というヤマ場を迎える。韓国の現代史に残る一日となる。

 国会前には各地から集まった市民団体のメンバーが「弾劾」と書かれたプラカードを掲げた。否決されれば全議員が辞職するとしている野党3党は、弾劾訴追案の可決を訴え徹夜で座り込みを行っている。

 ■採決のスケジュールは

 9日午後3時に国会が開会し、弾劾訴追案について改めて野党から説明があり、その後、投票が行われる。投票は国会内の個室で議員が投票用紙に手書きで漢字かハングルで賛成であれば「可」、反対であれば「否」の一文字だけを記入する形で行われる。投票が終わればすぐに開票作業が行われる。

 ■弾劾訴追案の採決についてポイントを整理

 まず韓国の国会議員の定数は300人。可決されるためには、そのうち200人以上が賛成票を投じる必要がある。

 弾劾訴追案を国会に提出した野党や無所属の議員は172人。この全員が賛成票を投じるとみられるが、200人の可決ラインに届くには、与党・セヌリ党から28人以上が賛成にまわる必要がある。与党としては弾劾案に反対だが、党議拘束はかけない方針で、与党の中の非主流派を中心に採決で賛成にまわる議員が何人出るかがポイントとなる。

 ■弾劾訴追案は可決されるのか、採決の見通しは

 弾劾訴追案が可決される公算は大きい。9日に発表された世論調査でも弾劾に賛成する意見が81%で国民の多数も可決を求めている。

 すでに弾劾に賛成する方針を明らかにしている与党の非主流派は、可決を可能にする28人を上回る35人の賛成票を確保したとしている。最終的には非主流派だけでなく与党の主流派からも賛成票が投じられるという見方もあり、可決される公算が大きくなっている。

 可決されると朴大統領の職務が停止され、最長180日間の憲法裁判所の審理が始まる。

 憲法裁判所が、弾劾が妥当だという判断を下せば朴大統領は罷免、大統領の職を辞めさせられる。弾劾が棄却されればその時点で職務に復帰する。朴大統領はこれまでに「弾劾訴追案が可決されれば結果を受け入れ、その状況で私ができる全ての努力を尽くす」と述べている。可決されれば憲法裁判所の審理の過程で自らの主張を展開していくものとみられる。

 一方、大統領の職務が停止されれば国政の混乱は長期化しそうだ。憲法裁判所の判断が出るまで黄教安首相が職務を代行するが、野党は黄首相を認めない構えで、首相の人事は難航しそうだ。

 こうした中、今月中に東京で開催する方向で調整されてきた日中韓首脳会議は見送られる見通しとなった。