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上海ディズニーランド営業再開 中国「ゼロコロナ政策」大幅緩和も…“場当たり的”方針転換に戸惑い

2022年12月8日 19:31

中国が進めてきた厳しい「ゼロコロナ政策」が大幅に緩和され始めました。レストランなどでの店内飲食が解禁された他、休園していた上海ディズニーランドも8日から営業を再開しました。こうした中、“場当たり的”とも言える方針転換に、市民の生活は大きく振り回されています。

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8日、私たちが向かったのは先月29日から休園していた中国の上海ディズニーランドです。

記者
「上海ディズニーランドは、きのうの夕方、突然、営業再開を発表しましたが、朝から多くのお客さんが訪れています」

中国政府が「ゼロコロナ政策」を緩和したことを受け、8日から営業を再開したのです。

営業再開を待ちわびていたのか、走ってくる人や、ディズニーキャラクターのぬいぐるみを持ってくる人も見られました。出迎えてくれたのは、マスクにゴム手袋姿のスタッフです。

来場者
「うれしい! ずっと封鎖されていたので、ずっと待っていました!」

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中国の「ゼロコロナ政策」は大きな曲がり角を迎えました。中国政府は7日、軽症の感染者には隔離施設ではなく、自宅隔離を認めることなどを発表しました。

きっかけは、中国全土に広がった抗議活動です。「習近平! ポストを降りろ! 習近平! ポストを降りろ!」と政権批判の声まであがる異例の事態となりました。

4日にも、中国・福建省のマンションで感染者が確認され、封鎖されたことを受けて、住民らが「誰の指示で封鎖するんだ! 呼んで来い!」と激しく抗議しました。地元政府は「代表者を出してください。説明しますから」と話していました。

習近平政権は国民の不満を抑えるため、急激な軌道修正を余儀なくされているのです。

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首都・北京では、長らく禁止していたレストランなどの店内飲食を解禁しました。

記者
「飲食店が立ち並ぶ通りは、封鎖が続いていた頃はガラリとしていたんですけど、少しずつ客足が戻ってきていますね」

地元住民
「長い間、みんな期待していました。ようやく自由になりましたよ」

しかし、レストランの中は空席が目立ちます。11月中旬から営業停止となっていた日本料理店のオーナーは、「本当にきのう急に(解禁と)言われたので、きょうから頑張ってる感じ」といいますが、急な営業再開に予約客は1組だけでした。

日本料理店オーナー
「生魚買ってきても、やっぱりお客さんの予測は立たないので、あまり仕入れられない」

突然の方針転換に、飲食店は振り回されていました。

日本料理店オーナー
「中国の方が出渋るとは思いますね。外国の人ってあまり(コロナを)気にしないで出歩きますけど、中国の人はすごく躊躇(ちゅうちょ)というか、まじめというか」

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急な規制緩和を受け、北京の薬局には6日、行列ができていました。

市民
「今、この地区は患者がかなり多いので、薬を買いだめします」

感染拡大を恐れた市民らが、発熱や風邪の薬を買い求めるために殺到していました。

一方、PCR検査場には、緩和の前から変わらず、朝から長い行列ができていました。北京では6日から、オフィスビルなどに入る際の陰性証明の提示が不要になりましたが、検査をする人が相次ぎました。

検査を受ける市民
「出勤するには、48時間以内のPCR検査(陰性)結果が必要なんです」「これまで3年間、感染を抑えてきたのに(規制が)終わるのは不安です」

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中国の「ゼロコロナ政策」は感染者が依然として多い中、大幅に緩和されました。しかし、“場当たり的”とも言える方針転換に、市民の生活は大きく振り回されています。