マリウポリ 給水トラックに「ロシア非常事態省」の文字 進む“ロシア化”の動き
ウクライナ南東部のマリウポリでは、製鉄所で戦闘が続いています。一方、市内で給水を行うトラックに書かれていたのは、「ロシア非常事態省」の文字。“ロシア化”の動きが進んでいます。
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戦闘が続くマリウポリのアゾフスタリ製鉄所。治安組織「アゾフ連隊」が公開した写真には、戦闘で傷ついた兵士たちの姿が写っていました。
マリウポリの治安組織「アゾフ連隊」中尉
「我々は多くの犠牲者を出している。毎日『きょうが最後の日か』と思う。待つのは、差し迫った死か、敵に捕まることだが、捕まることもまた死を意味する」
マリウポリ市議会副議長によると、製鉄所では、「ロシア軍が11日に化学兵器を使った攻撃を計画している」との情報もありましたが、12日時点では確認されていません。
市内では、日常を取り戻す動きも見られましたが、給水を行うトラックに書かれていたのは、「ロシア非常事態省」の文字。“ロシア化”の動きが進んでいます。
ロシア国営テレビが配信した、掌握を宣言している南部ヘルソンの映像には、9日のロシアの「戦勝記念日」を住民とされる人たちが祝っているとする様子が映っていました。
住民とされる人
「ロシアは私の祖国です。私の祖国はここです」
さらに、ロシアメディアによると、ヘルソン州の親ロシア派の幹部は「ヘルソンはロシアの領土だ」などとして、ロシアへの編入をプーチン大統領に直接要請する考えを明らかにしました。
これにウクライナ側は反発し、ポドリャク大統領府顧問は11日、自身のツイッターに「侵略者は火星や木星まで編入の要請をするかもしれない。侵略者がどんな言葉遊びをしようとも、我々はヘルソンを解放する」と投稿しました。
ゼレンスキー大統領も、自身のテレグラムに「我々がすべてを取り戻したとき、この戦争は終わる」と述べる動画を投稿しました。
一方、第二の都市ハルキウでは、ウクライナ軍の反撃で、村が奪還されました。しかし、戻ってきた住民は「私の家はなくなりました。どこに住めばいいの、どうやって生きればいいの」と途方に暮れていました。
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そして、軍事侵攻を受け、ロシアの隣国・フィンランドで動きがありました。
来日したマリン首相は、11日、「フィンランドも変貌した安全保障環境を受けて、NATO(=北大西洋条約機構)の加盟申請をするだろうと岸田総理に申し上げた」と述べました。そして、12日、大統領と共同声明で、「速やかにNATOに加盟しなければならない」と表明しました。
フィンランドは、約1300キロにわたりロシアと国境を接していて、これまで、ロシアを刺激しないよう、あえて軍事的に中立の立場をとってきました。しかし、ウクライナ侵攻を受け、方針を大きく転換。議会など国内の手続きが済めば、加盟を申請することになります。
これにロシア側は、猛反発しています。12日、声明を発表し、「フィンランドのNATO加盟は、二国間関係に深刻なダメージを与える。軍事的・技術的、その他のあらゆる措置をとる」と、武力行使も辞さない考えを表明しました。
(5月12日放送『news zero』より)