フィンランド大統領ら「NATO加盟支持」表明 ウクライナ侵攻で方針転換
北欧・フィンランドの大統領と首相は、NATO(=北大西洋条約機構)への速やかな加盟を支持すると表明しました。フィンランドは軍事的に中立の立場をとってきましたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、方針を転換することになります。また、スウェーデンも同様の表明を行う見通しです。
◇
ロシア国営テレビは、ウクライナ南部・ヘルソンの映像を配信しました。9日のロシアの「戦勝記念日」に、ヘルソン州で住民が記念日を祝っているとしています。
ヘルソン在住とされる女性
「ロシアは私の祖国。私の祖国はここです」
ロシア軍が占領しているヘルソンで、抗議活動をした市民には催涙弾を使用するなど力による支配を進めています。
こうした中、ロシアメディアによると、ヘルソン州の親ロシア派の幹部は11日、「ヘルソンはロシアの領土だ」などとして、ロシアへの編入をプーチン大統領に直接要請する考えを明らかにしました。
これに対し、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は反発し、「侵略者は火星や木星まで編入の要請をするかもしれない。どんな言葉遊びをしようと、ウクライナ軍はヘルソンを解放する」とツイッターに投稿しました。
◇
一方、ウクライナ側がロシア軍を押し戻しているというハルキウ近郊で、村に戻った住民が目にしたのは破壊された自宅でした。
住民
「兄弟のような国に、こんなに激しく破壊されるとは最後まで思っていなかった」
◇
こうした中、いまだ戦闘が続いているのがウクライナ南東部・マリウポリのアゾフスタリ製鉄所です。製鉄所をめぐっては、市議会の副議長が「ロシア軍が11日に化学兵器を使った攻撃を計画している」と話していましたが、今のところ使用したとの情報はありません。
ロシア軍の激しい攻撃を受ける製鉄所で、抵抗を続けるアゾフ連隊の兵士は、腕や足を失っています。
アゾフ連隊 中尉
「我々を待つのは差し迫った死か、敵に捕まることだが、捕まることもまた死を意味する」
◇
バチカン市国で11日、アゾフスタリ製鉄所で夫が戦っているという2人の女性の目の前に、ローマ教皇の姿がありました。
夫が製鉄所で戦う女性
「あなたは私たちの最後の希望です。あなたが彼らの命を救ってくれることを願っています。どうか彼らを死なせないでください」
ローマ教皇
「彼らのために祈りましょう」
◇
ウクライナのNATO加盟の動きにロシアが反発し、ウクライナに侵攻してから2か月半。北欧・フィンランドの大統領と首相は12日、NATOへのすみやかな加盟を支持すると表明しました。この後、議会などの国内手続きが済めば、実際に加盟を申請することになります。
フィンランドは、これまで軍事的に中立の立場をとってきましたが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、方針を転換することになります。
また、スウェーデンも同様の表明を行う見通しです。