ロシアの「独立承認」でウクライナ情勢はどうなるのか国際安全保障の専門家が解説
■今後の見通しは?
ロシア側の動きがまだ全く分からないというのが、全ての前提だ。
武装勢力の支配地域内のみにロシア軍が展開をして、そのまま特に行動をせずにいるだけみたいな形が長く続くと、紛争としてはこう着状態ということになる可能性はある。そうすると、西側としても「さらなる侵攻の認定」ができずに、大規模な制裁は行われずに事態が推移するということもシナリオとしてはあり得る。
もし現状の武装勢力の支配地域を越えて、ロシア軍が侵攻することになると、ウクライナ軍との間での戦闘が発生するということになる。
戦闘が発生し死傷者が出て、戦闘が行われる地域がさらに拡大していくと、国内避難民も増えるだろうし、国外に出る難民も当然発生してくる。
ウクライナはポーランドやルーマニアという、EU加盟国と国境を接しているので、国外に難民として流出すると彼らをどのように保護するのかといったようなものも、ヨーロッパにとっては特に大きな課題になってくる。
ロシア側が何を望んでいるのか、狙っているのか、はっきりと分からないが、重要な点はより広い地域を対象とした軍事的な侵攻が今、能力的に可能な状態にあるということ。そういう状態にある以上、ロシアの行動がより大規模になるという可能性を否定することはできないのが現状だ。