イスラエル“ハマス最高幹部を殺害” 中東情勢は…「怒りに火がつく」指摘も
イスラエルが、イスラム組織ハマスの最高幹部シンワル氏を殺害したと発表しました。日本時間18日夜、ハマス側は死亡したことを認めました。
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イスラエル軍が公開したドローン映像。爆破されがれきだらけの建物の中を進むと、ソファに座っている人物が確認できます。
イスラム組織「ハマス」の最高幹部、シンワル氏とみられています。撮影されていることに気づいたのか、棒状のものを持つとカメラに向かって投げました。
イスラエル軍によりますと、シンワル氏が殺害される直前の様子だということです。
16日、イスラエル軍はパレスチナ自治区、ガザ地区南部でハマスの戦闘員3人を殺害。そのうちの1人がDNA鑑定などの結果、シンワル氏と特定したと明らかにしました。
一方、ロイター通信によりますと、ハマス側は18日、シンワル氏が殺害されたと認めたということです。
シンワル氏は、戦闘が激化する引き金となった去年10月の攻撃の首謀者とされています。
イスラエルにとっての“最大の標的の死”に、ネタニヤフ首相は「この殺害はハマスの統治が衰退する重大な節目だ」は述べました。また、人質を解放するまで戦い続ける姿勢を示しています。
一方、いまも戦闘が続くガザ地区南部。シンワル氏の殺害は“大きな衝撃”だといいます。
ガザ市民
「ネタニヤフは止まらない。シンワルだけでなく全てのパレスチナ人が標的にされている」
「リーダー(シンワル氏)の暗殺で、パレスチナ全土が解放されてほしい」
アメリカのバイデン大統領は「世界にとっていい日だ。この戦争を終わらせ人質を取り戻すときだ」と述べました。
今回のハマス最高幹部の殺害は、悪化の一途をたどる中東情勢を変えるのか、中東情勢に詳しい専門家に聞きました。
現代イスラム研究センター 宮田律理事長
「『戦争はもうやめてくれ』というようなムードも(ガザに)ありますから、住民たちの感情に応える可能性もある」
「ガザにおけるひどい人道状況、社会経済状況が改善されない限り、ハマスという組織は脈々と生き続けるのではないか。一義的には指導者を殺害して組織の弱体化をもたらすかもしれないが、人々の怒りに火をつけてイスラエルに対する暴力的な抵抗を長引かせる可能性もあると思う」
(10月18日『news zero』より)