“VR”が変える暮らし 仕事も学習も
以前はゲームなどで使われるイメージが強かったバーチャルリアリティー(=仮想現実)の世界。今、その活用の場は仕事や学習にも広がり、私たちの生活を変えようとしている。未来の生活が現実に。アメリカで最前線を取材した。
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米・カリフォルニア州。先月30日、SNS大手、フェイスブックが年に一度開く開発者向けのイベント。毎年恒例のイベントだが、今年はVR(=バーチャルリアリティー)の新製品が体験できるブースが非常に盛り上がっていた。ヘッドセットを装着して仮想現実のゲームを楽しむ人々。
しかしこの日、フェイスブックが語りかけたのは、ゲームではなく私たちの生活を変える新たな技術の話だった。
Facebook担当者「VRを使うことで、企業は時間とお金を節約しながら仕事ができるようになる」
VRで働き方が変わろうとしている。実際に、こうした技術を活用して仕事をする女性の自宅(米・ワシントン州シアトル)を訪ねた。
eXpリアルティ マーケティング担当シンシアさん「自宅の職場へようこそ!ここが出勤場所よ」
不動産会社に勤めるシンシアさん。自宅が職場だという。
シンシアさん「ここが私の職場、バーチャル企業。物理的なオフィスはなく、インターネットの中で働いている」
シンシアさんのチームが集まるオフィスは仮想空間の中。
シンシアさん「今どこにいるの?」
同僚のヘザーさん「ハワイのオアフ島よ」
シンシアさん「リサは?」
同僚のリサさん「オハイオ州よ」
別の場所にいながら同じ空間に集まり、一緒に仕事をしていた。
オフィスがないため、賃料や社員の出勤の交通費がかからないというこの会社。売り上げは年々倍増している。
シンシアさん「仕事とプライベートのバランスが素晴らしい。前よりも家族との時間が増えた」
医療の現場でも活用が進んでいる。
イリノイ大学Immersive Touch施設(イリノイ州)・パテル医師「これはVRで作り出した子どもの頭部。小さくしたりこんな風に動かしたり。血管も見えますね。こうやって大きくしたり、脊髄の中に入ることもできる」
この技術でを使うことで、手術の成功率が格段に上がったという。
パテル医師「手術前に体の構造に触ることができるようになった。手術のリハーサルができる」
さらに、患者にとってもメリットが。
ヤシーンくん(8)「僕の血管が見えるよ」
3歳の時に頭蓋骨の手術を受けたヤシーンくん。見ているのは、手術を受けた自分の頭蓋骨を再現した映像。
パテル医師「(映像で)患者は手術を理解できる」
こうした技術は、教育現場でも。
英会話教師(カリフォルニア州)「店員と会話してチーズバーガーを買う練習をしてみましょう」
記者「ハンバーガーとポテトをください」
これまでは海外留学でしか体験できなかったことを、自宅にいながら体験できる英会話教室。この他、会議や空港など、様々なシチュエーションを疑似体験できる。
イマース社・テイバーCEO「教科書や映画から学ぶのとは違い、様々な感覚を使うことができる。この方法だと言語の習得率は2倍、3倍、時には4倍も早くなる」
今後、日本などで展開するため、準備を進めているという。
真のVR元年になる、とも言われている2019年。私たちの生活を大きく変えていきそうだ。