「90%事実」映画モデルの元工作員が語る
北朝鮮の最高指導部に接近を図る韓国の工作員を描いた映画が、今月、公開される。映画のモデルとなった元工作員がNNNの取材に応じた。
対立の象徴である板門店で握手を交わした米朝の首脳。元工作員の朴采緒さん(65)は、このニュースに特別な思いを抱いたという。
朴さん「軍事境界線を挟んで、極限まで対立したアメリカと北朝鮮の最高指導者が会った。大きな意味があると思う」
朴さんはかつて、韓国の情報機関の工作員として北朝鮮当局に接近を図り、1990年代後半には金正日総書記とも面会したという。
朴さん「(金総書記は)決断力があり、話に無駄がなかった」
≪北朝鮮はすでに核を持っています≫
≪北の権力層に潜入して探ってほしい≫
――今月19日から公開される韓国映画「工作」。実業家を装い、核開発の実態を探るため、北朝鮮指導部に接近を図った朴さんをモデルに描かれた。
朴さん「映画は90%がファクトをもとにしている」
与えられた任務を遂行したという朴さんだが、その後、韓国で北朝鮮に厳しい保守政権が誕生すると、機密情報を漏らした疑いで逮捕され、3年前、自由の身となった。
そして、時代が変わり、かつて危険を冒して接近した北朝鮮は、現在、韓国やアメリカとの対話に乗り出している。
朴さん「今も頭の中に北朝鮮の一般国民の生活ぶりが浮かぶ。(私たちは)北朝鮮の指導者ではなく、一般国民のことを考えるべきだ」
南北の体制を越えた友情も描かれる映画「工作」。時代に翻弄(ほんろう)された工作員の体験からは、歴史の裏側も垣間見える。