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【解説】北朝鮮ミサイル…「年末年始」も警戒? “ICBM級”弾道ミサイル発射…アメリカ全土が射程に

2023年12月18日 20:39
【解説】北朝鮮ミサイル…「年末年始」も警戒? “ICBM級”弾道ミサイル発射…アメリカ全土が射程に
18日朝、北朝鮮が発射したミサイルは、久しぶりの「ロフテッド」軌道の打ち上げとなりました。この後の「年末年始」も関係なく撃つ可能性はあるのでしょうか? 日本テレビ・国際部デスクの近野宏明解説委員が詳しく解説します。

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日本テレビ解説委員 国際部デスク 近野宏明
「あらためて説明すると、『ロフテッド』とは、真上に近い角度で発射し、高い高度までとばしています。そのぶん、見かけ上の飛距離は短くなるわけですけれども、これをミサイル本来の角度で飛ばせば、大陸間弾道ミサイルのような非常に長い距離、遠くまで飛ぶ能力があることになります。今回のような飛ばし方は、5か月ぶりということになります」

実際には1000キロの幅でしたが、「ロフテッド軌道」だったので、この角度を変えていくと、1万5000キロ飛ぶという計算になるということです。

――この時期に相次いで発射した理由は何かあるのでしょうか?

近野宏明 解説委員
「1つには、アメリカと韓国への反発というのがあります。北朝鮮は、いま、アメリカ軍の原子力潜水艦が韓国・釜山に寄港していることに談話で触れています」

「基本的には、今の北朝鮮というのは、ミサイル技術の向上を確認するため、いつでも、随時発射するものだ、というのが専門家の見方なのですが、17日の短距離ミサイルの飛距離というのは、実は、原子力潜水艦がいる釜山までの距離と同じくらいだという分析です。つまり、“狙おうと思えば、そこをやれるんだ”というメッセージだととらえる向きもあります」

――年末年始も関係なく撃つ可能性はあるのでしょうか?

近野解説委員
「これについては、振り返ると、年末年始の発射というのはなかった時期がずっと続いていました。2010年代の後半などはそうでした。けれども、去年の2022年からは様相が変わっていまして、去年は1月5日に短距離をまず発射しています。そして、大晦日の12月31日にも発射しました。加えてその翌日、つまり今年の元日にも発射をしているということで、もはやタイミングというのは選んでいない様子があります」

「さらに北朝鮮は、年末に党の重要な会議を開くなどしていて、日本ほど年末年始の休みが徹底しているわけではない、ということにも注意が必要です」

「実際に、韓国のユン大統領は18日朝の発射を受けて、国家安全保障会議の場で、『北朝鮮の年末年始・追加挑発の可能性に備えて、態勢に万全を期する』というふうに言っています。
こうしたことからも、やっぱり年末年始も気が抜けない、ということになります」