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貨物船“乗っ取り” 武装組織「フーシ派」が映像公開 ガザの新生児がエジプトに

2023年11月21日 20:31

イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突の余波が広がっています。日本郵船が運航する貨物船を乗っ取ったとする時の映像を、イエメンの武装組織が公開しました。一方、パレスチナ自治区「ガザ地区」から退避した新生児たちが、エジプトに到着しました。

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20日、イエメンの武装組織「フーシ派」が「イスラエルの船をだ捕した」とする映像を公開しました。

貨物船に近づく、1機のヘリコプター。ヘリはそのまま船に向けて高度を下げると、武装した男らが甲板に降り立ちました。イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突が続くなか、「ハマス」を支持する「フーシ派」が「イスラエル船を標的にする可能性がある」との脅しを、実行に移したのです。

貨物船「ギャラクシー・リーダー」は、日本郵船が運航し、イスラエルに住む実業家が経営する会社が所有しています。

フーシ派の戦闘員
「動くな!動くな! 右へまわれ!」

男らは貨物船の操舵室に近づくと、中にいた乗組員を脅し、船を制圧しました。

フーシ派の戦闘員
「神は偉大なり! アメリカに死を! イスラエルに死を!」

「フーシ派」のボートに先導されるように、海を進む貨物船。船には、イエメンとパレスチナの旗が取り付けられていました。ロイター通信によると、船からの通信は「イエメンのフダイダ港に連れて行かれた」との連絡を最後に、途絶えたままです。

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こうしたなか、「ハマスの拠点がある」として、イスラエル軍が突入した「ガザ地区」北部のシファ病院にいた新生児たち。19日には、健康上の深刻な問題を抱えた31人の新生児が、南部のラファにある病院へと、無事に退避していました。

一夜明けた20日、新生児のそばには、ひとりの母親の姿がありました。

双子の母親
「出産の日以来、初めて子どもに会えました。無事で安心しました。神に感謝します」

わが子の無事に、思いがこみ上げます。

そして、新生児たちは毛布にくるまれ、救急車に乗せられてエジプト側に移動し、別の救急車に乗せられました。31人の新生児のうち、28人がエジプトに移されました。残りの3人は南部の病院で治療を続けているということです。(※WHO=世界保健機関による)

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一方、病院を標的にしたことで、批判を受けているイスラエル軍は、20日、新たな映像を公開しました。国連の職員が、新生児の入る保育器を救急車に乗せています。手伝っているのは、イスラエル軍の兵士です。人道的な対応をアピールしています。

しかし、ガザ地区保健当局は、別の病院でもイスラエル軍の戦車が包囲し、攻撃で12人が死亡したと主張しています。

戦火の拡大が懸念される一方で、「ハマス」指導者のハニヤ氏は21日、「イスラエルとの休戦合意が近い」とSNSで表明しました。イスラエル側の人質の解放などが交渉されているといいます。(※「アルジャジーラ」による)

20日、アメリカのバイデン大統領は…

記者
「大統領、人質交渉の合意は近いのですか?」

バイデン大統領
「そう信じてるが、まだ話せない…」

記者
「そう信じてる?」

バイデン大統領
「そうだ」

戦闘停止に向けた具体的な動きは、実現するのでしょうか。