×

パキスタン大統領 単独インタビュー全文2

2019年10月23日 20:34

■Q:パキスタンとインドが領有権を巡って対立しているカシミール地方の問題について

「カシミール問題は、非常に大きな問題だ。世界が無視できない問題だ。インドとパキスタンが、2つの国に分かれた時、カシミールをパキスタン領にすべきだった。それが最も合法的かつ道徳的、倫理的なやり方だった。インドもこうした考えにもとづいて、1950年代には、国連に対し、カシミールにおける住民投票を約束したのだ。インドが、住民投票を望んでいたのだ。パキスタンはそれに同意した。しかし、その約束は実行されていない。

これまでの70年間、殺人などの残酷なことが起きている。10万人が殺されたという情報もある。レイプ、放火、カシミールの人々に対する搾取が行われてきた。インド憲法には、カシミールのインドによる実効支配について書かれているが、私やパキスタン国民は、インド憲法に、カシミールのことを書く筋合いはないと思っている。カシミールの人々の生命線であったインド憲法の「370条」と関連規定の「35A」(自治を認める法律)は廃止され、カシミールの人々は立ち上がり始めた。

国連とインドは、カシミールの人々に約束したことを守らなければならない。インドで起きていることは、とても危険だ。インドは、過激化している。イスラム教徒やキリスト教徒、シーク教徒などの少数派に、強い圧力をかけている。

インドの現代史を見ると、数多くの暴動が起き、数千人が殺されてきた。ニューデリーでは、一晩で3006人が殺された。グジャラートでは、3千~5千人ものイスラム教徒が殺された。

現在は、権利の剥奪が起きている。アッサム州とベンガル州では、イスラム教徒が祖父世代から相続した土地が押収されている。人々は土地を失っている。土地がないと、インド国籍も失ってしまう。国連は、インドに対し、この取り組みを止めるよう呼び掛けた。しかし、続いている。

インド最高裁で、バブリ・マスジッド事件(ヒンズー教徒によるモスクの破壊事件)の判決が、間もなく出ると思う。この判決も、様々な議論を巻き起こすだろう。パキスタンは、過激派からは脱却した。多くのことを学び、テロと戦ってきた。人種や宗教で人々を分断させるのではなく、結束させることが大事だと、パキスタンは分かっている。

インドが自らの国民を分断させているのは、良くないことだ。カシミールでも、同じことをやっている。この75日間、人々は携帯電話を使用できなくなり、外部と連絡が取れない。仕事ができない。想像できますか?800万人から1100万人が75日間、働けていない。仕事がないと、過激派が増える。過激派が増えると、インドはまた、パキスタンのせいだと言う。

パキスタンが、領空侵犯した2機のインド軍機を撃墜した時、パキスタンは即座に操縦士をインドに返した。なぜなら、パキスタンは平和を望んでいるからだ。パキスタンは平和を望んでいる。パキスタンは対話を望んでいる。カシミール問題を、国際条約に基づいて解決させたい。日本政府を含む国際社会には、カシミール問題に関心を持って欲しい。また、インドに対し、公平な解決に向けて対話を求めるべき。平和な方法でカシミール問題を解決するしかない。

インドとパキスタンには、貧困がある。資源は、戦争や防衛のために使うのではなく、国民に分け与えるべきだ。パキスタンのカーン首相は、素晴らしいことをした。就任直後の演説で、インドと平和を築きたいと言った。そして、5つの提案をしたが、この全てに対して、良い返事はなかった。無責任だと思う。

世界は、平和を必要としている。世界史を見ると、弾圧は良くないということが分かる。やがて、人々は立ち上がる。カシミールの人々も、インドに満足していれば、このようなことは起きていない筈だ。重大な問題だ」