イスラエルの報復 ハマス「人質を処刑」警告 ライフライン断ち…追い詰められるガザ住民
パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」とイスラエル軍との報復攻撃は激化していて、これまでに双方の死者は1600人以上に上っています。一方、ハマスは空爆が続けばイスラエル人の人質を処刑すると警告しています。こうしたなか、追い詰められているのはガザの住民たちです。
◇
パレスチナ自治区のガザ地区はどこを見てもがれきの山で、激しく燃え上がる車もあります。原因はイスラエル軍による空爆です。
ガザ地区はイスラム組織ハマスが実効支配しています。ハマスは今月7日、イスラエルに向けてロケット弾を放ち、大規模な攻撃を開始したのです。
その報復として、イスラエルは昼夜を問わずガザ地区を空爆。イスラエル軍はガザの街を次々に破壊する様子を撮影した映像を10日、公開しました。民間人も多く巻き込まれ、子どもも被害を受けています。
ハマスの戦闘員がイスラエル・レム近郊に侵入し、音楽イベントを襲撃。死者は260人以上に上り、多くの若者が犠牲になりました。
逃げ延びた参加者は「本当に生き地獄だよ。あちこちに遺体があった。完全な虐殺だ」と語っていました。
ハマスの戦闘員が人質として音楽イベントの参加者を連れ去る様子をとらえた映像があります。銃撃が行われたのでしょうか、土煙が上がる様子も映っています。
中東メディアによると、国連・イスラエル大使は、“現在、ハマスに150人の人質をとられている”と主張。一方のハマス側は、イスラエル軍の空爆が続けばイスラエルの民間人の人質を処刑すると警告しています。
双方の死者はこれまでに1600人を超えるなど、ハマスとイスラエルの戦闘が激化しています。(イスラエル側約900人、パレスチナ側704人)
アメリカ人11人など、少なくとも外国人45人が亡くなっています。(アメリカ11人、フランス2人、タイ12人、ネパール10人、アルゼンチン7人、オーストリア3人)
ロイター通信によると、イスラエル軍はガザ地区のインフラ設備を攻撃したとされます。電気、食料、燃料などのライフラインを断ち、ガザを完全封鎖するとしています。
ガザ地区には200万人以上が暮らしていて、住民たちは病院などに避難しています。
避難する住民
「ガザには安全なところは全くない。最悪な人生だ」
ガザの住民たちは追い詰められています。
さらに、イスラエル軍はガザ地区の北にあるアシュケロン近郊に戦車などの部隊を集結。軍は30万人という異例の規模の予備役を招集すると発表していて、ガザへの地上侵攻を視野に入れた動きの可能性があるとの見方もでています。
そして、ガザ地区のパレスチナ人に対してエジプトに脱出するように促しているといいます。