対中強硬派の元米政府高官、台湾有事に備えた軍事力強化を指摘 ウクライナ積極的支援の岸田首相の戦略は「行きすぎだ」
アメリカのバイデン大統領は閣僚らを相次いで中国に派遣し、緊張が続く米中関係の安定化を模索しています。一方で、対中強硬派の元政府高官からは、台湾有事に備えた軍事力の強化を急ぐべきだとの声も出ています。
トランプ政権で国防副次官補として、対中国戦略の策定に関わったエルブリッジ・コルビー氏は、「中国との競争の管理」を掲げるバイデン政権の政策は、中国が台湾侵攻を真剣に検討している場合には機能しないと指摘しました。
コルビー元国防副次官補「最も重要なことは中国に対し、大規模な紛争を起こすことは、自国の利益にならないと思わせることだ。重要なのは『拒否戦略』、つまり軍事力の行使は失敗すると分からせることだ」
コルビー氏はウクライナへの軍事支援をアメリカが過剰に負担していると指摘し、むしろ対中国のための軍事力増強を急ぐべきだと指摘しました。また、経済制裁によって、中国の台湾侵攻の決意を変えることはできないとも分析しています。
一方、ウクライナを積極的に支援することで、対中国での欧米諸国の協力を引き出そうとする岸田首相の戦略について「行きすぎだ」と警鐘を鳴らしました。
コルビー元国防副次官補「政策として(欧米からの)感謝に訴えることは賢明ではない。重要なのは軍事力だが、それがウクライナに費やされている。私が日本や台湾なら『違う、ここ(インド太平洋)に注目してくれ』と言う」
コルビー氏は、その上で、日本が防衛費をGDP(=国内総生産)の3%にまで引き上げることが望ましいとしています。