【解説】ロシアの報復「追放された分だけ追放し返す」?……外交官“制裁”で専門家が見立て 今後の本丸は「天然ガス」禁輸
ウクライナを侵攻するロシアに対し、日本政府は追加制裁を発表しました。外交官らには国外退去を求めましたが、報復として想定されることを専門家に聞きました。ウクライナから国外への避難者は440万人に迫りますが、帰還する人も増えています。
■首相、“追放”は「総合的判断」
ロシアに対する国際的な非難が強まる中、日本でも新たな制裁の動きがありました。政府は、ロシアの外交官ら8人に国外退去の要請をしたと発表しました。
都内にあるロシア大使館前では8日夜、厳重な警備が敷かれていました。大使館から出てきた人に「政府が外交官追放を決めましたが…」とマイクを向けましたが、無言でした。
日本にとっては異例の措置です。岸田首相は「我が国として総合的に判断をし、国外退去を求めることを通告したものです。現下のウクライナ情勢も踏まえた措置であると思います」と会見で述べました。
■ロシア側「報復」即対応…中身は?
日本には、ロシアの外交官と通商代表部の職員が100人以上いるとされていますが、国外退去要請の対象となったのは8人です。
日本の発表を受け、ロシア外務省は「報復措置を取る」と即座に反応しています。
想定される報復として、慶応義塾大学の鶴岡路人准教授(国際安全保障)は「これは常にほぼ一緒で、追放された分だけ追放し返す。在モスクワの日本大使館から(同数の8人)追放というのが、強く想像されるところです」と話しました。
■追加制裁「5つの柱」の目玉は?
また政府は追加制裁として「ロシア産の石炭輸入禁止」の他、「機械類やウオッカなどの輸入禁止」「最大手銀行の資産凍結」など5つの柱を決めました。
鶴岡准教授
「石炭の輸入禁止に向かうというあたりが、今回は目玉だと思います。ただ(制裁の)最終的な本丸は、やはり天然ガスです。(石炭の輸入禁止は)ロシアに対するエネルギー依存度引き下げの、最初の第一歩である(と思います)」
■ウクライナに戻る人続々…避難者も増
ウクライナの隣国・ポーランドのプシェミシルでは8日、ウクライナ国境に向かうバスに、大きな荷物を持った人が続々と集まってきていました。
ロシア軍が、ウクライナの首都キーウ(キエフ)周辺から撤退する中、避難先からウクライナに戻る人が増えているといいます。
キーウに帰るという親子に話を聞きました。
母親
「家に戻ります。まずは(西部の)リビウに」
息子
「(ウクライナで)パパに会いたいし、ハグしたい」
国境付近には、ウクライナに戻ろうとする車などの長い列ができていました。
その一方で、激戦地などから国外に避難する人も日に日に増え、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の調べでは、440万人に迫っています。
(4月8日『news zero』より)